[BOOKデータベースより]
病とともに「よく生きる」とは?命と生活を守るコミュニティとは?「病む」も「治る」も変化する?肥満は「病気」になれるのか?不治の病に備えるイメージが人生を豊かにする?心理療法は病の語りにどう向き合うか?長寿はリスク?病者の物語が感動モノになるのはなぜ?
第1部 群れ(社会)の中での暮らし(傷ついたサル、障がいを持ったサルの暮らし;病と生きる―病と生の哲学的分析;病むことの多様性と治ることの斉一性)
第2部 治療と癒し(「病」とコミュニティ―超高齢社会を支える包括ケアという新たな挑戦;病の語りと心理療法;薬と共に生きる―一錠に詰め込まれた世界)
第3部 「病」へのまなざし(病のイメージ―「肥満」は病気ですか?;人はなぜ病者の物語に感動するのか;病と老化―正常と異常の境界線;死と病)
「病む」にまつわる人間科学の各アプローチにより、人間と人間社会にとっての普遍的な問題としての「病むこと」の意味を見出す。医学、哲学、霊長類学の立場から病むことの意味、生きることとの関連について論じた上で、臨床心理学、臨床哲学、社会福祉学、医療人類学の立場から様々な治療や癒やしの制度について、それらが「病」や社会にとって持つ意味について論じる。さらに、人類学と社会学の立場から、「病むこと」と社会の間に生じる様々な関係、社会における「病気」の意味について論じることで、「病むこと」とそれに向けられる社会制度と社会のまなざしが、人間社会における普遍的で不可分な重要性をもつことを明らかにする。