[BOOKデータベースより]
第1部 NATO同盟域外派兵をめぐる改憲論議と憲法訴訟―司法判断による専守防衛政策からの脱却(冷戦後の安全保障環境の変化と同盟域外派兵をめぐる改憲問題;1994年7月12日連邦憲法裁判所第二法廷判決;同盟の変質の法的意味と連邦憲法裁判所の評価)
第2部 1994年判決以後の国外戦闘参加への政府と議会の協働―法的制約論から積極的政策論へ(連邦軍コソボ派遣をめぐる法と政治;コソボ戦争以後の派兵決定をめぐる対立軸の変質)
第3部 軍隊国外派遣法の制定と運用上の問題―議会関与法の制定と連邦憲法裁判所による議会派兵承認権の拡張(「武装軍隊の国外出動に関する決定に際しての議会関与に関する法律(議会関与法)」の制定;軍隊国外出動決定への議会関与の射程(2008年5月7日第二法廷判決))
第4部 航空テロ攻撃への武力対処をめぐる憲法訴訟―航空安全法テロ対処規定違憲判決と判例変更の意義(航空安全法テロ対処規定に関する憲法問題;2006年2月15日連邦憲法裁判所第一法廷判決と判決後の対応;2012年7月3日総会決定と2013年3月20日第二法廷決定による判例変更;総括と要約)
筆者はこれまで一貫してドイツの防衛・安全保障法制を研究している。本書はこれまでの筆者の研究論文を整理し直すことにより、ドイツ連邦憲法裁判所による冷戦後の防衛憲法の判例法的形成とこれに基づく安全保障立法の特徴および同盟政策の影響を明らかにしようとしたものである。国の統治機構も所属する同盟の特性も異なるドイツではあるが、日本の憲法と安全保障法制の今後の展開を考えるうえで、冷戦後のドイツの取り組みには参考になる点が多い。