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行為計画説による見地から
多摩大学出版会 ぶんしん出版 地方・小出版流通センター 樋笠尭士
点
第1章 同一構成要件間における方法の錯誤について第2章 方法の錯誤と客体の錯誤の区別―離隔犯を中心に第3章 因果関係の錯誤について第4章 共犯の錯誤と行為計画第5章 未必の故意について第6章 実行行為と客体の認識について終章 本書の結論
本書の特徴3つ・本書は、故意の本質論に端を発するはずの日本とドイツの通説や実務が、事案によって錯誤論による例外処理を認めているという「故意論としての一貫性の欠如」に言及した初の研究である・本書の「行為計画説」は、故意論がメインターゲットであるが、因果関係論、共犯論、実行行為論にまで寄与しうる点で、有意義な学説となっている・日独両国の法状況を検討して、故意の本質論を見失いつつある判例実務の立場に警鐘を鳴らす点や、行為者の主観と実行行為を結ぶ点で有益である。紹介文刑法において故意犯が成立するためには,客観的な要件の充足に加えて,主観面において故意が必要である。たとえば、行為者がAを殺害するつもりで発砲し,予想外に弾がBに当たってしまった場合,行為者にはBに対する故意があるのか、すなわち,Bとの関係で行為者には殺人罪が成立するのか、それとも過失致死罪が成立するのか、という問題がある。法定的符合説は、行為者が認識した事実と実際に発生した事実が抽象的に構成要件の範囲内において符合している場合には故意を認める。これに対して、具体的符合説は、構成要件にとって重要な事実について、行為者が認識した事実と実際に発生した事実が具体的に一致したときにのみ故意を認める。両説の結論は対立しているが、最高裁は法定的符合説を採用した。しかし、Bに対する殺人罪既遂罪とAに対する殺人罪未遂罪の2罪が行為者に成立することになり、本来1つしかなかった殺人の故意を行為者に2つ認めてしまっている。行為者の故意に応じて道義的非難が生じ、その責任として刑罰が科されるという責任主義に照らせば、故意論で解決されるべき問題を罪数論で検討してはいけないと思われる。 この点、近年は、少なくとも高等裁判所では結論(量刑)として具体的符合説に立ったとも評価できる裁判例があることが確認されている。 本書では、裁判所は法定的符合説を用いて故意を認めておきながら、なぜ量刑ではその故意を、刑を重くする方向で考慮しないのか、そもそも、具体的符合説では妥当な解決が図れないのかという疑問を扱う。さらに、因果関係、実行行為、共犯関係、未必の故意に関する考察も行うことで、本書は、「方法の錯誤」という一類型の解決のみならず、いわゆる錯誤論を故意論として犯罪論に妥当するよう理論化することを試みる。
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[BOOKデータベースより]
第1章 同一構成要件間における方法の錯誤について
[日販商品データベースより]第2章 方法の錯誤と客体の錯誤の区別―離隔犯を中心に
第3章 因果関係の錯誤について
第4章 共犯の錯誤と行為計画
第5章 未必の故意について
第6章 実行行為と客体の認識について
終章 本書の結論
本書の特徴3つ
・本書は、故意の本質論に端を発するはずの日本とドイツの通説や実務が、事案によって錯誤論による例外処理を認めているという「故意論としての一貫性の欠如」に言及した初の研究である
・本書の「行為計画説」は、故意論がメインターゲットであるが、因果関係論、共犯論、実行行為論にまで寄与しうる点で、有意義な学説となっている
・日独両国の法状況を検討して、故意の本質論を見失いつつある判例実務の立場に警鐘を鳴らす点や、行為者の主観と実行行為を結ぶ点で有益である。
紹介文
刑法において故意犯が成立するためには,客観的な要件の充足に加えて,主観面において故意が必要である。たとえば、行為者がAを殺害するつもりで発砲し,予想外に弾がBに当たってしまった場合,行為者にはBに対する故意があるのか、すなわち,Bとの関係で行為者には殺人罪が成立するのか、それとも過失致死罪が成立するのか、という問題がある。法定的符合説は、行為者が認識した事実と実際に発生した事実が抽象的に構成要件の範囲内において符合している場合には故意を認める。これに対して、具体的符合説は、構成要件にとって重要な事実について、行為者が認識した事実と実際に発生した事実が具体的に一致したときにのみ故意を認める。両説の結論は対立しているが、最高裁は法定的符合説を採用した。しかし、Bに対する殺人罪既遂罪とAに対する殺人罪未遂罪の2罪が行為者に成立することになり、本来1つしかなかった殺人の故意を行為者に2つ認めてしまっている。行為者の故意に応じて道義的非難が生じ、その責任として刑罰が科されるという責任主義に照らせば、故意論で解決されるべき問題を罪数論で検討してはいけないと思われる。
この点、近年は、少なくとも高等裁判所では結論(量刑)として具体的符合説に立ったとも評価できる裁判例があることが確認されている。
本書では、裁判所は法定的符合説を用いて故意を認めておきながら、なぜ量刑ではその故意を、刑を重くする方向で考慮しないのか、そもそも、具体的符合説では妥当な解決が図れないのかという疑問を扱う。さらに、因果関係、実行行為、共犯関係、未必の故意に関する考察も行うことで、本書は、「方法の錯誤」という一類型の解決のみならず、いわゆる錯誤論を故意論として犯罪論に妥当するよう理論化することを試みる。