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[BOOKデータベースより]
序章
第1章 ピ・イ・マルガルの連邦主義思想の分析―プルードンとの比較を通じて(ピ・イ・マルガルとプルードンとの比較考察の必要性;プルードンの連合主義と契約思想の特徴 ほか)
第2章 スペイン内の地域的多様性の発見―青年ピ・イ・マルガルの活動(一九世紀スペインにおける国民史認識の構造;『スペインの記憶と美』とピ・イ・マルガル―史料としての建築 ほか)
第3章 カントナリスモと歴史の利用(「カントナリスモとは何であったか」―その概略と解釈をめぐって;カントナリスモは何であろうとしたのか―機関紙の分析から歴史認識的起源へ ほか)
第4章 大統領ピ・イ・マルガルによる歴史の利用(第一共和政とピ・イ・マルガル;ピ・イ・マルガルの議会演説と歴史認識 ほか)
第5章 自治と独立―キューバ独立擁護論にみる「真の歴史」(自治主義と独立運動―ピ・イ・マルガルら三者の活動について;自治主義の特徴とその根拠―ラブラとの比較を通じて ほか)
終章
本書は、19世紀スペインの政治家、政治・社会思想家にして、歴史家でもあったフランシスコ・ピ・イ・マルガル(Francisco Pi y Margall)の生涯と彼の思想を論じた本邦初の研究書である。ピ・イ・マルガルは、「アナーキズムの父」とされたフランスの社会思想家P.-J.プルードンの思想的影響のもと連邦共和主義思想を唱え始め、また、連邦共和党を率い1873年の第一共和政期には第二代大統領として連邦共和制を宣言するに至った人物である。一方で彼は生涯を通じて歴史家としても活動も続け、多数の歴史書を著した人物でもあった。本書では、これまで見過ごされてきた歴史家としての側面に注目し、彼の連邦主義思想を歴史認識の観点から分析することで、連邦主義を支えた多元的国民史認識を描き出すことに成功している。そしてそれはこれまで当たり前とされてきた近代国民史認識への異議申し立てでもある。
なお、本書は2011年3月に京都大学大学院文学研究科へ提出した博士論文に加筆修正を加えたものであり、各章の初出は次の通りである。
第1章「ピ・イ・マルガルの連邦主義思想の分析」…2002年度京都大学文学部に提出した卒業論文(未発表)。
第2章「スペイン内の地域的多様性の発見」…「フランシスコ・ピ・イ・マルガルの歴史認識―19世紀スペインにおける『他者の歴史』に関する一考察―」『史林』89巻4号、2006年、65―96頁。
第3章「カントナリスモと歴史の利用」…「カントナリスモと歴史の利用―カントン・ムルシアーノを中心に―」『史林』93巻5号、2010年、65―97頁。
第4章「大統領ピ・イ・マルガルによる歴史の利用」…書き下ろし。
第5章「自治と独立」…「フランシスコ・ピ・イ・マルガルのキューバ擁護論と歴史認識」『スペイン史研究』24号、2010年、1―15頁。
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