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[BOOKデータベースより]
文学とジェンダーの密接不可分の関係をコンラッドの作品から論究する!
『オールメイヤーの阿呆宮』―オールメイヤー夫人像に見る人種とジェンダー
[日販商品データベースより]『島の除け者』―アイサ像に見る人種とジェンダー
『闇の奥』(1)―男の夢の挫折
『闇の奥』(2)―「男同士の絆」の危うさ
『闇の奥』(3)―「女性排除」の問題をめぐって
『ロード・ジム』―英雄的夢を求めて
『密偵』―「家庭の天使」から「ニュー・ウーマン」へ
『西欧人の眼に』―ナタリア像に見る女性の偶像化
コンラッドの小説に見る女性の偶像化―その背景をめぐって
コンラッドの女性戦略―『西欧人の眼に』から『チャンス』へ
『チャンス』(1)―ファイン夫人に見るフェミニストの肖像
『チャンス』(2)―マーロウのミソジニスティックな言説についての問題
『勝利』―「男らしさ」の理想と現実
十九世紀後半、ポーランドに生まれながら、船乗りとして世界各地を旅した経験を元に、異国を舞台とした多くの海洋小説や、冒険小説の伝統をくむ小説、政治小説を書いたイギリスの現代作家ジョウゼフ・コンラッドは、長い間、男の世界を描いた「男らしい」作家と見なされてきた。そしてこのことと関連して、女性をあまり描かない、あるいは十分に描けないミソジニスト(女嫌い)の作家と見なされ、その性差別主義が指摘されてきた。前著『コンラッドの小説における女性像』(一九九九年)で述べたように、このような見方は、アルバート・ゲラードやトマス・モーザ、バーナード・メイヤーらによって、一九五〇年代から一九六〇年代に確立した。そしてこのような見方は、作品世界だけではなく、女性との関係にも向けられ、伝記的側面とも繋がっている。しかしながら、コンラッドは本当に「男の世界」だけを描き、称揚した作家であっただろうか。また、自らとは異なる性である女性を、十分に人物造型することができなかっただろうか。女性は、その作品世界で単に周縁的な存在に過ぎないだろうか。コンラッドは、性差別主義者であったのだろうか。本書は、このような素朴な疑問に発している。
作家の生い立ちや経験、19世紀末のイギリス社会におけるジェンダー観の変化などに着目した多面的な切り口で作中人物たちの声を分析し、従来の解釈に鋭い疑問を投げかける一冊。