[BOOKデータベースより]
差別は「同情融和」されるものではなく、闘い解放されるべきものなのだ、という主張のもと、戦後、「解放教育」が押し進められていく。「解放教育」を実際にうけ、崩壊する家庭の苦悩から救われた著者が、その意義とそこからの超克を、歴史の現場を歩くことで再発見。大宅壮一ノンフィクション賞受賞『日本の路地を旅する』の著者が描く、誰も書かなかった同和教育、解放教育。
序章 初めての記憶
第1章 部落民であることを宣言した日
第2章 河内とマカレンコ
第3章 兵庫・八鹿高校事件顛末
第4章 広島・世羅高校事件の転機
第5章 同和教育の現在を歩く
終章 解放教育を超えて
日本の被差別部落を訪ねる旅に事件をおこした兄との思い出をかさね大宅壮一ノンフィクションを受賞した「日本の路地を旅する」。
その上原さんの二冊目の代表作ともいえる作品が誕生しました。
被差別部落で卸の肉屋をいとなむ父は母に暴力をふるい、それぞれが外に愛人をつくり、上原さんの家庭は地獄でした。父親に包丁で刺された母親を病院につれていくところを進学塾に通う級友にみつけられ、はやされ、幼い上原さんは、行き場を失って荒れていきます。家庭が闘争状態にあった上原さんは、小学生だったにも関わらず酒を飲んで登校、学校で暴力をふるうようになっていたのです。
そんな上原さんを救ったのが、「解放教育」を実践する一人の女性教師でした。自らの家庭と被差別の出自をクラスで涙ながらに語ったのが、中学三年のときでした。
その上原さんが、自らを救った「解放教育」とはなんだったのか、なぜそれが潮が引くように後退していったのか、を日本の同和教育、解放教育のエポックとなった、兵庫・八鹿高校事件、広島・世羅高校事件などの現場を歩きながらさぐっていきます。
それは、また自らが苦しみながら、それを超克していった上原さん自身の物語でもあります。
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そんな上原さんを救ったのが、「解放教育」を実践する一人の女性教師でした。自らの家庭と被差別の出自をクラスで涙ながらに語ったのが、中学三年のときでした。
その上原さんが、自らを救った「解放教育」とはなんだったのか、なぜそれが今あとかたもなく消え去ってしまったのか、を日本の同和教育、解放教育のエポックとなった、八鹿高等、広島世羅高校事件などの現場を歩きながらさぐっていきます。
それは、また自らが苦しみながら、それを超克していった上原さん自身の物語でもあります。