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[日販商品データベースより]
神の時代から悪魔の時代へ――
熱湯に手を入れる釜審やパンを呑み込む嚥下審、勝敗が判決を分ける決闘裁判、豚や虫に対する訴訟、そして魔女裁判……中世から近世にかけて、こうした〈奇異な裁き〉が行われたのはなぜか。また、その時代的変遷は何を示しているのか。
■序章より
(前略)これまで取り上げてきた、棺台審、冷水審、熱鉄審、動物裁判、魔女裁判、決闘裁判に関わる風景は、現代に生きる私たちから見ると、まことに「奇異」にうつる。非常に野蛮で、荒唐無稽、また人権を無視することはなはだしいという感慨を抱いてしまう。
なぜ、中世から近世にかけて生きたヨーロッパの人々はこのような裁きを行っていたのだろうか。その理由や背景は何であろうか。本書では、この問題を考えていくことを通して、神判、決闘裁判、動物裁判、魔女裁判という四つの「奇異な裁き」に通底するものを探っていきたい。ただし、これら四つの「奇異な裁き」にアプローチする際に留意しておきたいことがある。それは、これらの「奇異な裁き」を関連性のない別々のものとして扱わないということである。
熱鉄審や冷水審などの神判、決闘裁判、動物裁判、魔女裁判など個々の裁きについては、これまで数多くのすぐれた研究がなされてきた。しかし、それらの裁きを包括的に捉えて共通するものを探る試みは十分になされてこなかったと思われる。
個々の「奇異な裁き」について歴史的探究を進めることは大切である。一方、種々の「奇異な裁き」を包括的に捉えることも重要だと思われる。現代日本社会に生きる私たちが、これらの「奇異な裁き」の風景を眺めたときに、そこに異質な、何かしら「奇異なもの」があるとの印象を受けるのも間違いないことである。そのある意味で居心地の悪い印象は、多様な「奇異な裁き」に通底するものに関係しているのではないだろうか。本書では、この思いを導きにして探究を進めていくことにしたい。