[BOOKデータベースより]
ビジョンが「何を実現したいのか(What)」という問いへの答えであり、戦略が「どのようにそれを実現するのか(How)」という問いへの答えであるとすれば、セオリーは、望ましいビジョンを達成するための最善の戦略を構築するうえでの「なぜそうするのか(Why)」という答えを与えるものです。セオリーは、強靱な戦略を策定することを通じてビジョンを実現するための、極めて重要な役割を担っているのです。MIT発の伝説の名著、待望の翻訳!
第1部 組織学習と知識の創造(分断から統合へ―学習コミュニティの構築;組織学習サイクルのマネジメント;コンピテンスを活用して組織能力を高める)
第2部 セオリーのパワー(学習基盤の構築;パラダイム生成ループ―認識が現実をかたちづくる;TQMとシステム思考をセオリー構築ツールとして活用する;組織の成功を支えるコア・セオリーとは?)
第3部 持続的な変革を生み出すためのシステム・アプローチ(ビジョン展開マトリクス―大規模な変革のためのフレームワーク;出来事レベルの思考からシステム思考へ;視点のレベル―さまざまなレベルでの「火消し」活動)
現代の特徴は、知識の半減期が短くなったことである。技術も市場も、数年単位で大きく形を変える。デジタル化、AIの進展、サブスクリプション・プラットフォーム型ビジネスなど、新しいモデルが次々と現れては、既存の前提を揺さぶっている。そのような環境では、過去の成功体験をそのまま踏襲することはむしろ危険であり、自らのメンタルモデルを継続的に更新する仕組みが必要となる。
同時に、人材の流動性が高まり、「人が辞めること」が日常化している。かつて日本企業が得意とした長期雇用を前提とした技能継承は、制度的にも文化的にも維持しにくくなっている。優秀な人材ほど外部に転じやすく、社内にとどまることを前提とした「暗黙の学習システム」は機能しにくい。こうした状況のもとでは、組織の競争力は、人材そのものではなく、人材が共有する世界観や判断のフレーム、すなわちセオリーの健全性によって左右されるようになる。
学習する組織とは、個人の経験をセオリーとして統合し、再利用可能な知識として循環させる仕組みを持った組織である。環境変化に受動的に対応するのではなく、変化そのものを学習の材料としながら、主体的に自らの構造を再構成し続ける―そのような組織こそが、これからの時代を生き抜くのである。
本書が提示するセオリー中心のアプローチは、そうした組織を支えるもっとも強固な基盤となる。単に「学びの重要性」を訴えるのではなく、学習がどのようなメカニズムで起こり、どこで阻害されるのかを、理論的に説明しようとしている点に、本書の価値がある。
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