[BOOKデータベースより]
ムーミン谷の源流をさぐる。トーヴェ・ヤンソンはなぜムーミン物語を描いたのか。あのユートピアに込められた思いはなにか。いったいかれらは、誰なのか。ヤンソン研究の第一人者が8年の歳月をかけて書き上げた遺作にして、決定版評伝。
ムーミン谷の成分表
すべてはパリから始まった―一九〇五‐一四年(〇歳)
ヘルシンキにトーヴェと戦争がやって来た―一九一四‐一八年(〇‐四歳)
ヘルシンキのアトリエで育つ―一九一八‐三〇年(四‐一六歳)
シグネの仕事を引き継いでいく―一九三〇年(一六歳)
ペッリンゲの島でママとパパと夏をすごす―一九二〇‐三〇年(六‐一六歳)
ストックホルムで愉快な叔父たちとくらす―一九三〇‐三三年(一六‐一九歳)
テクニスで技術と自由を得る―一九三〇‐三三年(一六‐一九歳)
アテネウムが分断されていく―一九三三‐三七年(一九‐二三歳)
芸術家になりたい―一九三三‐三七年(一九‐二三歳)
パリとベルリン、ふたつの衝撃に見舞われる―一九三四年(二〇歳)
パリに留学しセーヌ左岸に両親の足跡を追う―一九三八年(二三‐二四歳)
パリでアトリエを選ぶ―一九三八年(二三‐二四歳)
ブルターニュの島で絵を描く―一九三八年(二三‐二四歳)
ひとりでイタリアを旅する―一九三九年(二五歳)
『ガルム』でスターリンとヒトラーを描く―一九三九‐四五年(二五‐三一歳)
戦争が始まり、友人は決意する―一九三九‐四五年(二五‐三一歳)
家族がしずかに壊れていく―一九三九‐四五年(二五‐三一歳)
仕事第一主義をあらためて決意する―一九三八‐四四年(二四‐三〇歳)
小さなトロール、世に放たれる―一九三九‐四五年(二五‐三一歳)
アトスと出逢い、言葉にめざめる―一九四六‐四七年(二九‐三三歳)
ヴィヴィカと出逢い、トリオが右往左往する―一九四六‐四八年(三二‐三四歳)
トゥーリッキとあたらしい世界へ―一九五五‐七〇年(四一‐五六歳)
シグネの旅立ちとムーミン谷の終焉―一九七〇年(五六歳)
ヤンソン研究の第一人者が
8年の歳月をかけて書き上げた
遺作にして、決定版評伝。
ムーミン谷はなぜ生まれたのか。いったいかれらは誰なのか。
その謎はトーヴェ・ヤンソンの生涯をたどると見えてくる。
===
「どこまでが事実で、どこからが虚構なのか。
これを問うてもあまり意味はない、と示唆していると考えることもできよう。創作は創作として評価すべきであって、モデル探しに意味があるとは思えないとも。だから、これまでわたしは、虚と実とを必要以上に同一視する読みを避けてきた。しかし、近年あらためてヤンソン作品を読みなおすうちに、作品のいたるところに、作者のアルター・エゴが見え隠れする気がしてきた。したがってヤンソンの生涯を語ることは、ひるがえって作品を語ることであり、逆もまた真であろう。と同時に、物語の内的ロジックを分析するさいに、作者の生とからめる解釈のさじ加減に細心の注意を払いたいと思う。虚と実の交わる境界領域にこそ、作者トーヴェ・ヤンソンのひととなりが現われでるかもしれない。
もとより、どんな作家でも大なり小なりそうなのだが、トーヴェ・ヤンソンという作家はとりわけ自己イメージの表象にこだわった創作者ではないのか。そして、それらは子ども時代の家族の表象、というより、きわめて明確な意図をもって再構築され、しかもいかにも無造作で自然な印象を与えるまでに入念に呈示された表象と切っても切り離せないと思う。
なんといっても、ヤンソンが生きた子ども時代の追想なくして、ムーミン谷やその住人たちに生命が吹きこまれることはなかった。よって、まずは虚構のムーミンの家族と実在するヤンソンの家族をかさねることから、
ヤンソンの生涯を語ってみたい。」
(「まえがきにかえて」より抜粋)
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