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[日販商品データベースより]
日本は日中戦争・アジア太平洋戦争時、労働力不足を補うために、植民地であった朝鮮から多くの朝鮮人を動員し、危険な土木工事や炭鉱等で働かせ、時には虐待し、多くの命が失われた。
北海道・幌加内町朱鞠内もかつての強制労働の現場。元々は20戸ほどの入植地として始まった開拓農民の集落だったが、1935〜43年の鉄道・ダム工事の期間には、数千人の日本人と少なくとも3000人の朝鮮人労働者が働かされた。過酷な工事現場からは死者が次々と出て、その大半は墓地から外れた山林の地下に埋められ、やがて熊笹が地面を覆い、死者の存在は戦後長く忘れ去られていた。
1976年、朱鞠内湖に遊びに来ていた当時30歳の僧侶・殿平善彦は、偶然にも、近くにある光顕寺で引き取り手のない80基余りの位牌に出会う。それは8年間の工事の間に亡くなった日本人・朝鮮人の青年男性ものだった。敗戦直後に北海道で生を受けた彼は、それまで自分に先立つ過去を戦争や植民地支配に重ねて考えたことはなかったが、自分達は「沈黙を続けることはできない」と思った。
その時から、殿平は笹やぶの下に眠る強制労働犠牲者に思いを馳せ、遺骨を発掘し、一人でも多く遺族の元へ遺骨を返そうと動き出し、韓国へも何度も足を運んだ。
本書は、殿平善彦の30〜80歳までの、強制労働犠牲者の遺骨問題に取り組んだ、半世紀におよぶその活動の貴重な記録である。
殿平にとって遺骨発掘の意味は、「死者の声を聴くこと」であり「遺骨は出会うもの」だと言う。朱鞠内は、遺骨と出会った若者たち・市民に、過去から現在まで続く加害と被害の歴史を学びながら、人と人がつながって生きることの大切さを教えてくれる場所となった。
そしていま、朱鞠内は「和解と平和の森」として再生し新たな一歩を踏み出そうとしている。
今日の世界は新たな戦争の時代を迎えようとしているかのようだ。ヨーロッパでも中東でも、戦火を止めることができない。ウクライナでもパレスチナでも無辜の市民が命を奪われ続けている。新たな植民地主義が世界を覆うかもしれない。
戦争と殺戮は、日本の近代が東アジアの国々や人々に強いた植民地主義とつながっている。現代の東アジアも戦争の危機と無縁ではいられない。「私たちは今こそ、国境を越えてつながり、朱鞠内に集い、暴力と植民地主義の闇を照らして和解と平和の未来を見晴るかす一筋の光になれたら」と殿平は語る。