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死刑判決の根拠は、ヒ素鑑定である。しかし、ヒ素は検出できていなかった。裁判官は、その鑑定が間違っていることを知っていた―。分析化学の研究者が、その核心にせまり、裁判官によって冤罪がつくられたことを証明する。
本書の概要と構成
カレーヒ素事件
ヒ素異同識別中井鑑定は「一部前提を欠く」と認めた民事裁判
林真須美の頭髪鑑定は、鑑定人が「自ら測定を行ったものではない」
小説『悲素』
林真須美頭髪48ミリに局在するヒ素検出に対する不正な判決とその連鎖
林真須美頭髪の3価無機ヒ素はDMAAとTMAだった
山内鑑定に対する田口判決(2022)
正常値(100名)は、ねつ造、改ざん、盗用
山内鑑定の酸化還元
山内鑑定の検出下限
補足とまとめ
裁判官によってつくられた冤罪
1998年7月25日、和歌山市の自治会の夏祭りで、何者かがカレー鍋に大量の亜ヒ酸を混入し、死者4名を含む多数の急性ヒ素中毒被害者を出した。その「犯人」として林眞須美氏が逮捕され、和歌山地裁で死刑判決(2002年)が下された。その後、最高裁(2009年)で死刑が確定。死刑判決は、@林氏宅にあった農薬に含有されていた亜ヒ酸とカレー鍋に亜ヒ酸を投入したときに使用された紙コップに残っていた亜ヒ酸が同一である、A林氏の頭髪からヒ素が検出された、という捜査側の鑑定に基づいて有罪を認定。しかし、裁判官は、その鑑定が間違っていることを知っていた――。約千頁の判決を書きながら、極めて重要な事実を書かなかった。本書では、分析化学の研究者である河合潤・元京都大学教授が、第一審から最高裁までの判決理由をつぶさに検討し、裁判官によってつくられた冤罪であることを証明する。





















