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[日販商品データベースより]
生命活動に不可欠な酸素状態の維持は、呼吸器の精緻な構造と機能に依存した換気・ガス交換により構成される「呼吸」によって達成される。呼吸器の機能障害を有する呼吸器疾患診療において、酸素状態の維持は重要課題である反面、呼吸の不全・病的状態においてどのように介入・維持するかは、容易なことではない。
酸素状態の異常には、低酸素状態と高酸素状態があり、低酸素状態には持続的低酸素、間歇的低酸素という異なる特徴を有する状態がある。哺乳動物としての進化の過程まで振り返って観ると、現在と地球環境の酸素レベルは必ずしも一定ではなく、数千・数万年規模での環境変化という視点から観ても、多くのことに気付かされる。こうした生命の神秘を感じ、本企画を立案した。
いかに低酸素が生体に悪影響を及ぼすのか、また低酸素状態だけではなく、高酸素状態が生体に与える影響が指摘され、低酸素は悪、高酸素は良、という常識も疑わねばと考える。本企画では多様な病態における酸素状態の異常について、解説をいただいた。また、ヒトにおける呼吸器系の進化も考慮した解説、低酸素環境への対応、自然史という視点でも様々な知見を紹介いただいている。
通常われわれが直面する病的状態は低酸素状態=呼吸不全であるが、様々な問いが挙げられると思われる。低酸素状態に生体はどう反応するのか? 症状(呼吸困難)はどう出現するのか? 低酸素を克服するために何ができるのか? 呼吸運動そのものを司るが酸素を消費する側である骨格筋をいかに活用するか? こうした問いに対する総論的な解説をいただいている。そして、代表的な呼吸器疾患、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群、肺胞低換気、肺高血圧、ARDSについて、各分野のエキスパートの先生方の解説をいただいた。
そして、近年機器の発展により達成された呼吸管理についても、それぞれの紹介だけではなく、低酸素に対する対策としてどのような位置づけなのか、俯瞰的な視点で章立てを試みている。具体的には、低流量酸素・高流量酸素療法(HFNCを含める)に始まり、持続陽圧換気療法、非侵襲的人工換気療法(NPPV)、ASVなど様々なバリエーションを有する呼吸管理、そして究極の治療法としての肺移植やECMOも加えて幅広く紹介をいただいた。近年保険収載された在宅HFNCも取り上げていただいている。また、コラムにおいてはパルスオキシメーターから宇宙レベルの話題、そして近年話題のHappy hypoxiaまで様々に取り上げていただいた。
企画者として、かなり無茶振りとも思えるリクエストに対して、重厚な基礎から最新知見までを凝縮した玉稿というべき作品を提供してくださった各著者の先生方には、本当に深謝申し上げたい。こうして編纂させていただいた本特集号は、貴重な現時点での集大成として将来も語り継がれるようなものになると確信している。