[BOOKデータベースより]
カフェ、文学、アート、街角、そしてフランスで生きるということ―。ベストセラー作家がパリで30年暮らした長年の友人と語る大人の旅の楽しみ方。
プロローグ―オリンピックが私をパリへ導いた
1 パリから北へ―隣合う二つの街が織り成す景色(パリといえばセーヌ川と橋;やるせない恋が似合う街「パリ二十一区」ドーヴィル ほか)
2 パリから南へ―南仏に息づく画家の魂(地中海沿いの街・アンティーブでの幸福な出逢い;サン=ポール=ド=ヴァンスの迷路に潜むホテル ほか)
3 パリの街を彩る文化―食とその奥に見えるもの(日本の物と一味違うフランスの牡蛎;パリの星空の下で、極上のディナーを楽しむ ほか)
4 パリに生きてパリに眠る―芸術と共にある暮らし(パリ、とっておきの美術館;セーヌ川の氾濫で気づくこと ほか)
エピローグ―エッフェル塔に灯がともるまで
パリと聞くと、胸がキュンとする。懐かしさ、愛しさ、寂しさ、もろもろの感情で胸がいっぱいになる。
一度でいい、住みたかった。しかし大学を出て毎日仕事に追われるうちに、今の年齢になってしまった。
そのパリに当時十年以上住んでいるという女性が、私が審査員を務める旅行作家協会のエッセイ賞に応募してきた。
それが河村真奈さんである。
パリでの再会を約した一年後、私とつれあいが恒例によりパリへ出かけたとき、
シャンゼリゼ通りに近い常宿のランカスターへ彼女が迎えに来て、夕食を共にした。
それまでもパリは何回も訪れていたが、十年以上生活した彼女ならではのパリに連れてゆかれ、
南仏や北の海など、知らない風景や文化に触れることができた。
西洋美術を本場で学び直したいと渡仏し、マティスの研究に至った彼女の感性は私と相通じるところがあり、
会うたびに共に行動した。何しろペラペラな彼女のフランス語で人知れぬ味に出会ったり、
隠れ家のような美術館に目を見張ったり。楽しい刻(とき)を持つことができた。
そのたびに新しい友人が増えた。人は人を呼ぶ。これまでたくさんの人や、たくさんのパリに出会った。
その一部をお教えしようと思う。
私のパリは本当はあまり知られたくないけれど、あなたのパリが拡がるお手伝いができれば幸せである。
想いを馳せて……
下重暁子
(「はじめに」より)
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