- 緑陰深きところ
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- 価格
- 902円(本体820円+税)
- 発行年月
- 2024年06月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784094073591
[BOOKデータベースより]
大阪の廃病院に独り住む三宅紘二郎のもとに一通の絵葉書が届いた。差出人は五十年前、紘二郎の愛した女とその娘を殺した兄・征太郎。葉書に書かれていた漢詩をきっかけに長年封じ込めた怨みが噴き出した紘二郎は、人生の終盤となった今、兄を殺すことを決意する。思い出の車・コンテッサで大分へ向かう途中、無一文の若者・リュウと出会い、なりゆきで運転手に雇うことに。倉敷での人探し、岡山での車の故障、そして日田へ―道中、次第に男たちの過去が明らかになる。旅の果て、彼らが目にする光景とは。感動の声続々、著者渾身のロードノベル、待望の文庫化。
[日販商品データベースより]業を負う男たち、旅路の果てに出会うものは
兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。
大阪ミナミの廃院に独り住む三宅紘二郎のもとに、1通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘二郎の記憶の蓋が開く。50年前、兄の征太郎は紘二郎が愛した女とその娘、さらには寝たきりの父親を斬殺した。なぜ今頃、と思いながらも、閉じ込めていた怨みを止めることはできなかった。絵葉書が兄の居所を示唆している。紘二郎は兄を殺すため、大分に向かう決意を固める。
思い出の旧車を手に入れ、旅に出ようとする紘二郎の前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の若者・リュウだった。紘二郎の買ったコンテッサはニコイチの不良車で危険だと言う。必死に止める様子にほだされ、紘二郎は大分への交代運転手としてリュウを雇うことに。孫ほど年の離れた男との不思議な旅が始まった。
かつて女と暮らした町、リュウと因縁のある男との邂逅、コンテッサの故障……道中のさまざま出来事から、明らかになってゆく二人の過去。あまりにも陰惨な心中事件に隠された驚きの真相とは。リュウの身体に隠された秘密とは――? 旅の果て、辿りついた先で二人の前に広がる光景に、心揺さぶられる感動作。
【編集担当からのおすすめ情報】
本当のハッピーエンドとは何か。
家族の業や、女性の情念の描き方に定評のある遠田潤子さん。本作でもその力はいかんなく発揮されつつも、単行本刊行時、もっとも反響があったのは、物語のラスト、主人公二人の前に広がる光景の美しさでした。文庫化にあたり、小説家で医師でもある久坂部羊さんの解説を収録。ラストシーンを受けて、本当のハッピーエンドとは何か、という観点から本作を掘り下げてくださっています。
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