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詩集
ふらんす堂 橋本和彦
点
1(棒;木の哲学;皿;樹の宇宙;運動;飛翔;燃焼;線香花火;血と魂;蛍光灯;フリスビー;人差指;リンゴと落下;踊り場をめぐる断章;ヒメジョオン)2(幸福;清明;冬の日;魂の物差し;十二月の空;夜明けに食器を洗っているのは;どこまでも;深夜の歩行;鍵と錠;過ぎ去るもの;分数)3(乖離;睡眠;光の樹;硬直;苦しみについて;悲しみについて;勾配;雨と理由)4(シエイブル・スケイル氏の人生最高の日;笛と儀礼―Y県O村;直線;完璧な図形;地球の自転;階段;涙府;邂逅)
◆第三詩集棒は原初的な道具である恐らくは、われわれの祖先が敵や獲物を打ち据えるために木の枝か何かを手にしたことが棒という道具の始まりだろう棒はその単純さゆえに多用され打ったり叩いたりする以外にも手の届かない場所を探ったり傾く何かの支えとして絶えず暮らしの場に置かれてきたしかし棒は突然、見るも無残なさまでバギリと折れてしまうことがあるこの世界はある瞬間非常にバランスを欠くことがあって一時的に膨大な負荷が一本の棒にかかってしまうのだまた、見た目には堅固であっても棒にはその実、愚直で脆い側面があるここにある一本の棒それは私たちの祖先が手にしたままの姿で確かに今も存在しているしかし、棒はもはや日々組み替えられていく世界の中でその居場所を失いかけている棒に触れると遠い岸辺にある小石のように冷たい(――「棒」より)
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[BOOKデータベースより]
1(棒;木の哲学;皿;樹の宇宙;運動;飛翔;燃焼;線香花火;血と魂;蛍光灯;フリスビー;人差指;リンゴと落下;踊り場をめぐる断章;ヒメジョオン)
[日販商品データベースより]2(幸福;清明;冬の日;魂の物差し;十二月の空;夜明けに食器を洗っているのは;どこまでも;深夜の歩行;鍵と錠;過ぎ去るもの;分数)
3(乖離;睡眠;光の樹;硬直;苦しみについて;悲しみについて;勾配;雨と理由)
4(シエイブル・スケイル氏の人生最高の日;笛と儀礼―Y県O村;直線;完璧な図形;地球の自転;階段;涙府;邂逅)
◆第三詩集
棒は原初的な道具である
恐らくは、われわれの祖先が
敵や獲物を打ち据えるために
木の枝か何かを手にしたことが
棒という道具の始まりだろう
棒はその単純さゆえに多用され
打ったり叩いたりする以外にも
手の届かない場所を探ったり
傾く何かの支えとして
絶えず暮らしの場に置かれてきた
しかし棒は突然、見るも無残なさまで
バギリと折れてしまうことがある
この世界はある瞬間
非常にバランスを欠くことがあって
一時的に膨大な負荷が
一本の棒にかかってしまうのだ
また、見た目には堅固であっても
棒にはその実、愚直で脆い側面がある
ここにある一本の棒
それは私たちの祖先が手にしたままの姿で
確かに今も存在している
しかし、棒はもはや
日々組み替えられていく世界の中で
その居場所を失いかけている
棒に触れると
遠い岸辺にある小石のように
冷たい
(――「棒」より)