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[日販商品データベースより]
すでに国内には50万人を越える成人期に達した先天性心疾患患者が存在すると言われている。循環器内科医,小児循環器医だけでなく,一般内科医にとってもいつかは遭遇する,もしくは既に実臨床で対応する必要性のある疾患群となっている可能性がある。
残念なことに,成人先天性心疾患の診療や治療では高いエビデンスで治療方針が確定している領域は限られており,過去の経験もしくは他の疾患群の治療を参考に個別の治療が行われているのが現状である。これは成人先天性心疾患といっても多種多様の病態があり,同一の疾患名であっても個別の患者の病態には大きな違いがあることが一因である。日本循環器学会を中心に国内でも成人先天性心疾患領域のガイドラインは発行され改訂も加えられてきたが,循環器領域の他領域のようにエビデンスレベルの高い推奨項目は非常に限られているのが実情である。特に肺高血圧, Fontan術後,妊娠・出産など、疾患そのものの多様性が大きいため、管理や治療については十分なエビデンスは確立していない。そして何よりも,このような患者の診療が成人先天性心疾患領域の最も重要な位置を占めているのである。
個別の心疾患の診療・管理体制に目を向けると,他の循環器疾患領域と同様に新規医療が続々と登場し,その臨床応用が期待されている。また,循環器関連の学術集会などで,シンポジウムや教育セッションとして成人先天性心疾患が扱われる機会が増加してきている。本領域に関心を持つ医療関係者が増加していることは喜ばしいことであるが,今後はさらに多くの医療関係者に成人先天性心疾患を理解し対応できる知識と経験を広めていく必要がある。本領域は医学部学生の時期には教育の機会がまだまだ限られているため,循環器領域の研修医をはじめとする若手研修医には,成人先天性心疾患の全体像を把握し各領域のエキスパートの考え方を学習する機会を持つことはとても重要と思われる。
成人先天性心疾患の診療では,循環器領域のみで解決する問題以外に、多領域の共同での対応を必要とする領域が多い。妊娠・出産はその代表であり,Fontan術後遠隔期の腹部臓器障害や蛋白漏出性胃腸症に対する対応,チアノーゼ疾患に伴う腎障害なども、循環器領域以外の知識と経験が必要である。また,小児期から成人期への移行医療体制の確立,患者が社会の中で活動していくための社会保障など,看護や医療政策などのテーマは,日常診療では非常に重要な位置を占めるのにもかかわらず,医師が学ぶ機会の限られている領域である。このような多領域の情報についても多くの方に理解していただく必要がある。
本特集ではこのような目的を達するために,成人先天性心疾患における各分野のエキスパートの先生に,臨床の場で役立つ現時点での最も先進的なコンセンサスを記載していただくことをお願いした。成人先天性心疾患診療では、ある日突然重症の患者さんを治療管理しないといけない状況に遭遇する可能性がある。先生方の「その日」にお役に立つ特集になればと考えている。