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[BOOKデータベースより]
1 “私”とは(“私”というこだわり;公理系としての“私”;固有の世界としての“私”)
[日販商品データベースより]2 人々とともに(社会的主体としての“私”;“我の世界”と“我々の世界”と;マルチなアイデンティティと新たな統合の道と;“公”も“私”も大事にするということ)
3 “いのち”として(自己幻想からの脱却と“いのち”の自覚)
4 “私”を問い直す(“私”をめぐる六つの問い―大阪大学大学院生との対話(一九九三年);アイデンティティの形成と探究をめぐって―問題提起と討論(一九九七年))
5 宗教による目覚め(個我的自己意識からの脱却と宗教―心の教育のために(二〇〇一年);日本の伝統的美質である宗教多元主義の尊重復興を(二〇一二年);偽善とは何か―自分自身を生きるということ(一九九二年);宗教教育の再興(二〇〇一年))
日本の教育学の泰斗として知られる著者が、学生時代から一貫して取り組んできた「自己意識論」を集大成としてまとめた論集の第3巻。自己意識の問題は、アイデンティティ、自己概念、自己イメージ、自尊感情などの形で論じられ、現代の心理学・社会学・教育学などにおいて、最も重要な課題の一つとされてきた。
本書では、アイデンティティの確立について、三つの段階を提示している。第一段階は、家族や友人を通しての原初的な存在の確認。第二段階は、職業やジェンダーなど社会的ラベリングによる位置づけ。「世間」が重い意味を持つ日本のアイデンティティ論は、従来、この第二段階で終わりがちであった。しかし、もうひとつ、第三段階を考えなくてはならないと著者は主張する。志向する自己像を投影した、他者への宣言としてのアイデンティティである。
さらには、晩年の良寛のような「私なんて何者であってもええやないか」という超アイデンティティの境地にも思いをめぐらす。
個々人の意識世界のあり方について、「自分自身を生きていく」ためのものにしていこうとする様相を、さまざまな角度から論じている。
また、アイデンティティを論じる上で欠くことのできない、宗教および宗教教育についても、日本文化の特性と自己意識の観点から深く論じていく。