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[BOOKデータベースより]
本書は、これまで知られてきた唐宋の音楽世界を、詩文など豊穣な文献資料を用いて丁寧に見直し、その実相を提示する本格的業績である。第1部は、今なお演奏される伝統楽器の洞簫、および盛唐を代表する「霓裳羽衣曲」が詩文として後世に伝えられる中で、一つの音楽像を形成していく姿を捉える。第2部では、玄宗期に完成した礼楽儀礼とそれを掌った太常寺の意味を張説の詩文から読み解く。さらに辺境音楽の涼州曲を取り上げて、外来音楽が主流とされた唐代音楽を改めて見つめ直す。第3部では、李白・王維・蘇軾の音楽描写から、都を追われた詩人が見た日常の音の世界を浮彫りにする。本書は読者に中国独特の音楽世界を紹介し、詩文に依拠して、唐宋の音色を今に伝える一書として貴重な作品である。
第1部 詩文による音楽世界の創出(詩賦がもたらす楽器イメージ―洞簫をめぐって;詩が創出した唐の代表曲―霓裳羽衣曲)
[日販商品データベースより]第2部 詩文で辿る唐宋音楽の実相(唐代開元期における礼楽世界の完成―張説が描いた世界;辺塞音楽の中国化―涼州詞と涼州曲;唐宋音楽を繋ぐもの―唐代中晩期の蜀の音楽文化 ほか)
第3部 詩人と音の世界(風に運ばれる音―李白の詩が創り出す音の世界;音の定式からの解放―王維が開いた日常の音の世界;宋代文人と音楽―黄州における蘇軾の音楽文化探求 ほか)
魅惑的な外来音楽が盛んに演奏され,都長安の音楽文化が華開いた唐代,そしてそれが宮廷に留まらず巷にも流行し,その新たな曲調に合わせ詞を付す?詞という文人の娯楽が出現した宋代――当時を生きた人々は,実際にどのように音楽を享受していたのだろうか。
本書は,これまで知られてきた唐宋の音楽世界を,詩文など豊穣な文献資料を用いて丁寧に見直し,その実相を提示する本格的業績である。
第1部は,今なお演奏される伝統楽器の洞簫,および盛唐を代表する「霓裳羽衣曲」が詩文として後世に伝えられる中で,一つの音楽像を形成していく姿を捉える。
第2部では,玄宗期に完成した礼楽儀礼とそれを掌った太常寺の意味を張説の詩文から読み解く。さらに辺境音楽の涼州曲を取り上げて,外来音楽が主流とされた唐代音楽を改めて見つめ直す。安史の乱と宮廷音楽との関係,楽人の離散による地方への音楽伝播,加えて唐代と宋代の音楽に対する考えの違いをも解明する。
第3部では,李白・王維・蘇軾の音楽描写から,都を追われた詩人が見た日常の音の世界を浮彫りにする。
詩文は楽曲や楽器を意味づけつつ,人々の間に広まっていった。本書は前著『詩人と音楽』の姉妹編で,読者に中国独特の音楽世界を紹介し,詩文に依拠して,唐宋の音色を今に伝える一書として貴重な作品である。