- 生命の農
-
梁瀬義亮と複合汚染の時代
- 価格
- 2,200円(本体2,000円+税)
- 発行年月
- 2020年08月
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 9784864260459
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[BOOKデータベースより]
高度経済成長の光と影
[日販商品データベースより]仏縁
医師としての再出発
農業と化学物質
生命の農法
農薬による健康被害
複合汚染の時代
食品添加物に対する不安
行動する生活者たち
有機栽培の茶づくりに生きる
慈光会の設立
念仏往生
レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で、DDTなど化学薬品による環境汚染を告発したのは、1961年のことである。しかしそれより2年遡る1959年に「農薬の害」を公式に発表し、人体に対する農薬の多大なる悪影響を世に問うたのが、奈良県五條市の開業医・梁瀬義亮(やなせ・ぎりょう、1920-1993)であった。発表当初は、周囲からの誹謗中傷に晒され続けた。しかし諄諄と「無農薬有機農法」の大切さを説く梁瀬の誠実な姿勢に、賛同の輪が各地に広がっていく。
梁瀬は医師として、そして自ら有機農業を実践しながら、生命をないがしろにする社会の在り方に、敢然と異議申し立てを続けた。有吉佐和子は、そんな梁瀬の姿に強い感銘を受け、1970年代半ばベストセラーとなった小説『複合汚染』のなかで詳しく紹介し、最大級の賛辞を贈った。
近年、日本における食の安全性は、高度経済成長期と比べて向上したかに見える。しかし、一皮むけば心許ない状況にあることに変わりはなく、農薬や化学肥料への依存はむしろ強まっている。食品添加物の使用も巧妙になった。だからこそ、小説『複合汚染』が広く支持された1970年代を、いま一度再検証する必要がある。
過去を直視しなければ、未来を語ることができない。梁瀬義亮が警鐘を鳴らし、有吉佐和子が問題提起をした、昭和という「複合汚染」の時代とは、いったい何だったのか。梁瀬が生涯追い求めた「生命の農法」への軌跡を通して、その実像に迫っていく。