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[BOOKデータベースより]
ギリシア法廷弁論から民主制の本質を読む。今日に劣らぬ訴訟社会の古代アテナイ。裁判員の前で当事者達が虚々実々の弁論を繰り広げる。法廷で繰り広げられる人生劇場から、古代アテナイ社会を支える民主制の構造を明らかにする。
序論部 互酬性を飼いならす(アテナイ史と互酬性―アルカイックな痕跡かヘレニズムの先駆けか;友愛とポリス―アリストテレス『ニコマコス倫理学』;大きすぎるポリスの小さな法廷―民衆法廷の社会的性格)
[日販商品データベースより]第1部 公的言論のなかの血縁ネットワーク(家族の肖像―前四世紀アテナイにおける法制上のオイコスと世帯;血縁と友愛―イサイオスの描く親族争議;獲得されるものとしての親族関係――前四世紀におけるソロンの遺言の法の運用)
第2部 公と私のはざまで(ヘタイレイアーの信義をめぐって―前四一五年のアンドキデス;被害者のための報復―「何人でも欲するもの」による訴追の運用;法廷における動機としての個人的敵意――公私の分離;法廷弁論における訴訟の動機と私的敵意―公私の連続)
第3部 私人たちの世界(イディアイ・グラファイ(私的な公訴)―デモステネス『メイディアス弾劾』の場合;アプラーグモシュネー(静謐主義)と市民性―リュシアスの描く「私人」たち;ポリスへの参画―遊女ネアイラと市民女性)
第4部 友愛共同体としてのポリス社会(恩恵と哀れみ―法廷における感情;『レオクラテス弾劾』―リュクルゴスと互酬的秩序)
結論部
古代のアテナイ(アテネ)は訴訟社会であった。リュシアス、イサイオス、デモステネス等々の『弁論集』を読むと、財産をめぐる争いなど今日と変わらぬ一面を見せながらも、そこで繰り広げられる係争の内容はかならずしも自明ではなく、弁論の当事者たちが社会にあたえる恩恵の品定めなど、今日では理解しにくい面も持っていた。一見して審議とは無関係にみえる社会の相互扶助的なネットワークの存在を明らかにした本書は、民主制下の古代社会の構造を知るための必携書となろう。