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[BOOKデータベースより]
派生と転成から見た古代日本語動詞の文法機能
[日販商品データベースより]第1部(上代語尊敬語尾スの消長;精神的心理的意味を表す動詞の増殖と活用助辞ムの成立;話者願望表示の文法的方法と語彙的方法)
第2部(古代語形容詞の造語機能の特徴;活用助辞タリ、リ、ナリの成立と連体修飾;上代語動詞の形容詞転成の原初形態―無標識絶対分詞をめぐって)
補論1 上代語ラ行音と動詞形態
補論2 和歌における総仮名表記の成立
本書は、古代日本語を変革した最大の要因が動詞の増殖であると捉え、文法の歴史的変遷の論理を把握しようとする。古代語における動詞増殖には、動詞が動詞を生む派生(取る→とらふ、懸く→かかる)と語尾・接尾辞付接(極む、嬉しぶ、愛敬づく、野分だつ)等の造語法が注目される。動詞造語法がどのような展開を遂げたのかを経済性の観点からとらえる。また「立つ鳥、吹く風、咲きたる花、降れる雪」のような、動詞が形を変えずに形容詞の働きをする分詞的転成に注目した。日本語の分詞構文が「咲く花」のような無標識の絶対分詞を基本にして「咲きたる花(過去分詞)」「咲ける花(現在分詞)」へと展開する個性的な体系を形成した。また、リ、タリ、ナリが存在動詞アリの文法化を媒介にして形容詞の位置を文法的に標識する機能を獲得した。状態動詞を産出した接尾辞動詞が語彙的に、アリ文法化を介した分詞的転成が文法的に形容詞を標識して古代語の形容詞語彙の不足を補った。