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[日販商品データベースより]
抱腹絶倒、痛快無比な時代劇。
〈一両分の時間の間、ガセもまじえて聞かせましょう。私というニンゲンの狂言がそれでゴワサンなるやならざるや。〉(本文より)
*
江戸が明治にかわる頃、ニッポン人同士による(多分)最後の戦争がダラしなく終わろうとしていた──官軍と旧幕軍(彰義隊)がぶつかりあうなか、そこに現われたる新撰組残党〈山出灰次〉。もとはと言えばこの男、サムライを目指して寒村から出てきたのだったが、その戦場にて、同じく武士志願でともに故郷を後にしたものの離ればなれになっていた弟の〈黒太郎〉や、吉原に売られていった幼馴染みの〈お吉〉と、運命的な再会を果たす!! という舞台の幕開きは、狂言作家にあこがれるあまり侍分をも捨てちまった〈加瀬実之介〉が紡ぎ出したお話らしい。そしてその「物語」は、鶴屋南北や河竹黙阿弥、井伊直弼らを巻き込みつつ、贋金作り、仇討ち、紅毛歌舞伎などのエピソードも巧みに織り込んで、怒濤のごとくつき進んでゆく……。
ゴワサンで願いを叶えても、ええじゃないか! 「サムライから/への転身」を夢みる男たちをめぐる、かぶきっぷりのいい幕末大河エンタテインメント。虚構と現実のはざまで葛藤するニンゲンの「リセットぶり」を描いた傑作。