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[BOOKデータベースより]
本書では、井上洋介の初期から現在までの代表的な仕事を取り上げ、多岐にわたる井上の創作活動を、「漫画」「タブロー」「絵本」「さまざまな仕事」という四章構成に分けて、その全貌を紹介します。六十余年におよぶ長いキャリアを積み、自身を取り巻く時代や描法は移り変わっても、戦災の記憶を表現活動の核に据える井上洋介。「俺は俺」とわが画道を貫き通す彼の奇想天外な魅力あふれる世界をお楽しみください。
第1章 漫画(美校生時代の投稿漫画「漫画アンデパンダン」;独立漫画派刊『がんま』で活躍 ほか)
第2章 タブロー(卒業制作など、初期の油彩画;新制作協会展に出品、初入選を果たす ほか)
第3章 絵本(最初の絵本『おだんごぱん』;愛らしいウーフの誕生 ほか)
第4章 さまざまな仕事(演劇実験室・天井棧敷の舞台美術を手がけて;「だまし絵」の世界―「怪談青ひげ」 ほか)
画家、漫画家、天井棧敷の美術担当、絵本作家…。多彩な世界で活躍する、井上洋介の全軌跡をたどる初めての1冊。100万部のベストセラー『くまの子ウーフ』など絵本の世界も網羅。
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井上洋介と聞いて思い浮かべるもの『くまの子ウーフ』の挿絵、『まがればまがりみち』、ナンセンス。
キャリアの長い絵本作家でありながら、読み聞かせボランティア仲間の中でも「なぜたわし?」「なぜここにかえるが?」と同じくナンセンスで市民権を得ている長新太に比べてわかりにくいという評がある作家。
折しも刈谷市美術館で「井上洋介図鑑展」が行われることがわかり、ボランティアグループでのバス旅行が決定。そしてにわかに井上洋介についての勉強会と本を読み解く作業が始りました。
「横向きの表紙が多い」「色は黄色、青、グレーのイメージ」「手書き文字が使われている」「電車が好き」など、読み進めていくうちにわかってきたこと。
それでもいくつかの疑問を持ちながらの井上洋介図鑑展。タブロー・漫画・絵本とぎっしり囲まれた展示を、学芸員さんに説明を受けて見ました。
「井上洋介さんの作品は絵本だけ見ていてもわかりません。タブロー・漫画を見ていただくとわかります」とのこと。
確かに、漫画やタブローの中にすでに絵本の作品の萌芽があります。難解と思っていた井上洋介の絵本。好きなものを繰り返し描く、お散歩が好き、狭いところが好き。
一見とっつきにくいと思っていたその中には空襲の体験があり、今尚子どものような感性を持ち、暗くなりそうなところをふっと救うユーモアも垣間見えると、今までとは違うイメージが見えました。
現在開催中の井上洋介図鑑展にぜひ多くの人に足を運んでいただきたいと思うのと同時に、またこの本もぜひ多くの人に読んでいただきたい本です。
本の帯に「決定版」とあるように、今まであまり光が当てられていなかった面にもスポットを当てたこれは本当に労作。
この本の編集に当たられた松本育子さんは刈谷市美術館の学芸員さんで、愛知にこんなすごい人がおられたのだと思うと、井上さんの魅力再発見と共に松本さん発見と、私にとっては二度おいしい本でした。(はなびやさん 40代・愛知県 男の子12歳)
【情報提供・絵本ナビ】