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忘れない、災禍の物語 Fukushima.
新評論 ミカエル・フェリエ 義江真木子
点
ハーフライフ(半減の生)を乗り超え、人間としての明晰さを保ち続けていくために。大震災の記憶が私たちの心奥に刻みこむもの。自然と文明、人間の生と先人の思索…、震災を生きたあるフランス人作家の手記。
第1部 扇の要第2部 海から救いあげた物語第3部 ハーフライフ(半減の生)、使用法
ハーフライフ(半減の生)の現実の中で、人間としての明晰さを保ち続けていくために。震災を生きたあるフランス人文学者の手記 3・11から二年半近くが過ぎました。この間、私たちは災禍からどのような教訓を引き出し、未来への貴重な手がかりとして、自らの「生」の中に刻みこんできたのでしょうか。一万キロ離れたフランスに住む私は、震災から一年後、日本在住のあるフランス人文学者が本国で出版し大きな反響を呼んだ一冊の本に出会いました。この災禍は私たちの「生」に何をもたらしたのか。それを綴った本書を、私は日本の読者にも是非届けたいと思いました。 本書の著者フェリエ氏は、20年にわたり日本の大学で教鞭をとってこられました。災禍に際して氏は日本に残り、救援物資を持って東北を回りながらメモをとりました。それは、人間と災害についての、そして、原子力という現代文明がもたらした「ハーフライフ(半減の生)」と呼ぶべき状況についての生きた記録です。「ハーフライフ」とは、放射性物質の半減期を意味すると同時に、放射能汚染により切断された日常の生(自然の恵みを食し、自然の風を浴びるシンプルな喜びを切断された不完全な生活)を表現した言葉です。 本書はスローガンやヒーローの物語ではありません。未曾有の災禍に動揺する一市民―たまたま、ものを書く外国人であった市民―が、何を感じ、手探りし、見聞きし、理解したかを綴った「ノート」です。自然の威力、現代文明の装置、人間の悲しみや喜び、時代を越えた先人の思索。「ノート」にはこれらについての記録が、ゆっくりとした「生」のスピードの中で縦横に展開していきます。 3・11は私たちに、「生」についての根本的な問いかけを突きつけました。私たちの課題は、現代文明につきまとうリスクに目を開いたうえで、タブーと幻想を乗り越え、可能な限り賢明な「生」のための選択を共に確認していくことにあると考えます。本書が、「ハーフライフ」に馴致されることのない、人間としての明晰さを保つための手がかりとして読み継がれていくことを願ってやみません。(よしえ・まきこ 仏語翻訳家)
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[BOOKデータベースより]
ハーフライフ(半減の生)を乗り超え、人間としての明晰さを保ち続けていくために。大震災の記憶が私たちの心奥に刻みこむもの。自然と文明、人間の生と先人の思索…、震災を生きたあるフランス人作家の手記。
第1部 扇の要
[日販商品データベースより]第2部 海から救いあげた物語
第3部 ハーフライフ(半減の生)、使用法
ハーフライフ(半減の生)の現実の中で、人間としての明晰さを保ち続けていくために。
震災を生きたあるフランス人文学者の手記
3・11から二年半近くが過ぎました。この間、私たちは災禍からどのような教訓を引き出し、未来への貴重な手がかりとして、自らの「生」の中に刻みこんできたのでしょうか。
一万キロ離れたフランスに住む私は、震災から一年後、日本在住のあるフランス人文学者が本国で出版し大きな反響を呼んだ一冊の本に出会いました。この災禍は私たちの「生」に何をもたらしたのか。それを綴った本書を、私は日本の読者にも是非届けたいと思いました。
本書の著者フェリエ氏は、20年にわたり日本の大学で教鞭をとってこられました。災禍に際して氏は日本に残り、救援物資を持って東北を回りながらメモをとりました。それは、人間と災害についての、そして、原子力という現代文明がもたらした「ハーフライフ(半減の生)」と呼ぶべき状況についての生きた記録です。「ハーフライフ」とは、放射性物質の半減期を意味すると同時に、放射能汚染により切断された日常の生(自然の恵みを食し、自然の風を浴びるシンプルな喜びを切断された不完全な生活)を表現した言葉です。
本書はスローガンやヒーローの物語ではありません。未曾有の災禍に動揺する一市民―たまたま、ものを書く外国人であった市民―が、何を感じ、手探りし、見聞きし、理解したかを綴った「ノート」です。自然の威力、現代文明の装置、人間の悲しみや喜び、時代を越えた先人の思索。「ノート」にはこれらについての記録が、ゆっくりとした「生」のスピードの中で縦横に展開していきます。
3・11は私たちに、「生」についての根本的な問いかけを突きつけました。私たちの課題は、現代文明につきまとうリスクに目を開いたうえで、タブーと幻想を乗り越え、可能な限り賢明な「生」のための選択を共に確認していくことにあると考えます。本書が、「ハーフライフ」に馴致されることのない、人間としての明晰さを保つための手がかりとして読み継がれていくことを願ってやみません。(よしえ・まきこ 仏語翻訳家)