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[BOOKデータベースより]
特定の国のシステムを手放しで礼賛するのではなく、エビデンス(具体的な根拠)に基づき高齢者ケアの発展する局面を評価しつつ、停滞する側面を批判し課題を析出した。ともすると、外国社会の研究者はある地域だけをローカルに取り上げ、その良さを礼賛しがちであるが、筆者はスウェーデンという社会を“まるごと”把握することに挑んだ。その過程で、高齢者ケアの様々な局面において著しい地域格差が存在することに気付く。性急な一般化に走らないように慎重にアプローチし、分析検討を加えた。読者が再分析できるように、豊富なデータを“そのまま”掲載。読者がこの分野に強い関心をもってもらえるように配慮をした。認知症高齢者の人権擁護システムや高齢者虐待防止システムなど高齢者の人権に焦点を当てて分析している点も本書の大きな特徴である。高齢者の自殺率の国際比較や、ミンネスルンドという匿名墓地などのトピックスについても紹介した。
スウェーデンに関する基本的確認
[日販商品データベースより]スウェーデンおよび日本の高齢化
高齢者ケア政策およびケア実践の発展
過疎地コミューンの事例分析
高齢者ケアの民間委託化と自由選択法
高齢者ケアの質に関する情報公開の先進性
高齢者によるサービス利用満足度と結果の公開
高齢者虐待防止法と医療過誤防止法―サーラ法とマリア法
認知症高齢者などの人権を擁護するシステム
介護労働者の就労実態と就労意識
社会問題としての高齢者の自殺
多様化する終いの後の棲む家―自己選択・自己決定としてのお墓
今後の課題
本書は、著者による5年ぶり2冊目の単著である。前著『スウェーデンの高齢者ケア』に引き続き、スウェーデンの高齢者ケアシステムをエビデンス(データの裏付け)に基づきながら複眼的に分析している。つまり、光と影、発展と停滞というベクトルの異なる二つのアングルから、スウェーデンの高齢者ケアシステムを分析考察したものである。
スウェーデンは、1992年のエーデル改革以来現在に至るまで、高齢者ケアに関して様々な政策を展開してきている。スウェーデンは、数度にわたる高齢者ケアの国家戦略プランを軸に、高齢者ケアの質を高めるための政策を打ち出す発展志向型福祉国家と言える。もちろんそうした発展志向型政策が全て成功するわけではない。当然「停滞」する局面も生じてくる。
筆者の研究の特徴は、スウェーデンの政府機関だけでなく、多くのコミューンに出向き地道なインタビュー調査を行っている点である。このスタイルを取るからこそ、発展を志向しているにもかかわらず、足踏みを余儀なくされる「停滞」の局面を期せずして把握することにもなるのである。
なお、本書では、日本ではまだ実施されていない政策を重点的に取り上げたため、前著と異なり日本の高齢者ケアとの比較を積極的には行っていない。例えば、スウェーデンの高齢者ケアの諸側面に関するコミューンごとの比較に関する情報公開や、サービス利用者の満足度に関するコミューンごとの比較に関する情報公開は、世界的に見て稀有であり、スウェーデン独自であるため、日本との比較ができないのである。
さらに、認知症高齢者の人権擁護システムや高齢者虐待防止システムなど、高齢者の人権に焦点を当てて分析している点も本書の大きな特徴である。高齢者の自殺率の国際比較や、ミンネスルンドという匿名墓地など、多様なトピックスも紹介している。(にしした・あきとし)