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- お伽草紙 改版
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- 価格
- 737円(本体670円+税)
- 発行年月
- 2009年03月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784101006079
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おとなのおとぎ話
ネットの“本屋さんのレビュー大賞”で知った本。今思えばこれが私の読書三昧の始まりでした。大きく分けて5作品が含まれる。
表題の『お伽草紙』だが“浦島さん”をはじめ4篇含まれる。この“浦島さん”に興味があってこの本を買ったのであるが、きっかけは新聞の一面のコラムに引用されていたことによる。この亀と浦島の会話が何とも哲学的でヤニコクて面白い。
また『清貧譚』と『竹青』は中国・清の作家“蒲松齢”が民間伝承の話を元にした小説“聊斎志異”の中の一篇を太宰が空想を膨らませて書いたもの。小編ながら味のある作品となっている。『竹青』はいいと思った。中で魚容が、“色黒で痩せて干からびた醜く心も悪い働かない”妻の悪口を言ったとき、竹青が「その、一つとしていいところが無いのがあなたにとって懐かしく思われているのじゃないの。…一生涯、労苦を分かち合ってともに暮らしていくのが、あなたの本心の理想でしょう。」と言って帰してしまう。なんだかこの言葉はそのまま私に言われたような気がしてしょげた。魚容はしょげて家に帰ると・・・、あとは読んでのお楽しみ。
『新訳諸国噺』は井原西鶴の小品を太宰の空想で膨らませた話である。聊斎志異の手法と同じである。これも読みやすく読後にほっかりする話が12篇含まれる。
日本のおとぎ話を太宰が新たに解釈したもの
例えば、カチカチ山。この物語は、少女である兎に恋をする醜い狸の物語だったのだ。実らぬ片思いを描いた切ないラブ・ストーリーである。本気で片思いをしたことのある男なら誰もが抱く感情を見事に描く。自分の持つコンプレックスを気にしたり、気に入られようとして行う様々な、無意味とも言えるほどの努力をしたり。愛しい人との将来を妄想してみたりもする。しかし、いつの世にもそうであるように、少女は残忍なのだ。太宰の娘は、狸が可哀想であると言ったが、世間はどう判断するのだろう。