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ゼロメートル地帯が4割を占め、多数の地下鉄が走る東京は、きわめて水害に弱い構造である。仮に利根川で氾濫が起きれば、浸水区域内人口約230万人、死者数約6300人という膨大な数になると予想されるのだ。首都水没、驚愕のシミュレーション!
第1章 山の手にも洪水は起こる
第2章 東京は世界一危ない場所にある
第3章 地球温暖化で首都は壊滅する!
第4章 利根川の東遷事業が東京を危険都市にした
第5章 雨が降らなくても洪水になる「地震洪水」
第6章 なぜ東京は世界一危ないのか?
第7章 東京の三大水害に学ぶ―明治43年の「東京大水害」/大正6年の「大海嘯」/昭和22年の「カスリーン台風」
第8章 洪水は流域一帯で起こっている!
第9章 強靱な日本を創るために
昨年、ゲリラ豪雨が多発し、和歌山や奈良の山間部に大きな打撃を与えました。都市部もいつ、壊滅的な打撃を受けてもおかしくはありません。事実、東京では昨年、神田川が警戒水域を超えたため警報が鳴り、二子玉川駅そばの高級マンションが、床上浸水しています。なぜ、ここまで事態が深刻化してしまったのでしょうか。
温暖化による気候変化が大きな要因であるのは言うまでもありません。しかし、東京都建設局課長、江戸川区土木部長などを歴任した著者の土屋信行氏は、「それ以上に、行政の対策が後回しにされていることが問題だ」と説きます。
たとえば、江戸川放水路や荒川放水路はそもそも、利根川水系が氾濫し、東京の中心部が浸水することを防ぐために作られました。言い換えれば、江戸川以東、荒川以東に水が逃げるようにできています。当時はそれでよかったでしょうが、都市開発が進んだこの地区をいま豪雨が襲えば、多くの世帯が甚大な被害を受けかねません。にもかかわらず、放水路の東側は100年近く、放置されたままなのです。
土屋氏が危険だと指摘する都内の場所は幾つもありますが、その1つが東京駅です。周辺が低地であるため、実は水没と隣り合わせの状況にあるのです。また地下鉄も早急に対策が求めらます。いまの構造のままだと、地下鉄に流れ込んだ水が、日比谷駅や銀座駅あたりで吹き出すことが懸念されています。すでに、台北の地下鉄で同様の事態が起きており、復旧には3ヵ月を要しました。
洪水対策の第一人者が、都内の危険地区を示すとともに、あるべき強靭化の方策を提案します。
ゲリラ豪雨が深刻化すれば、都内でも地下鉄が長くストップし、東京駅が浸水しかねない。洪水研究の第一人者が都内危険マップを例示。