- 認知アポカリプス
-
文明崩壊の社会学
- 価格
- 4,400円(本体4,000円+税)
- 発行年月
- 2023年04月
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 9784622096016
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[BOOKデータベースより]
テクノロジーは人の注意を惹くことが利益に直結する経済モデルを生んだ。規制なき認知市場にスマホで繋がれた人類の未来とは。認知科学と社会学による啓示。
第1部 この世でもっとも貴重なもの(解放された人類;もう一つの人類史;一九九七年五月一一日 ほか)
[日販商品データベースより]第2部 ありあまるほどの脳の自由時間!(グローバルな「カクテルパーティ効果」;その胸は隠して…;奥底に潜む恐怖心 ほか)
第3部 未来はそんなに長くはもたない(禍々しい頭;われらが同胞の趣味;本来の性質を歪められた人間 ほか)
結論―最後の闘い
人類はいま史上最長の自由時間を手にしている。労働など生命維持のために必要な時間は1800年の48%から11%に減った(フランスでの統計)。先人には夢のようなこの時間が向かう先は、スマートフォンなどの画面である。そこでは正統な学知とデマが対等となり、世界を単純化するストーリーや、注意を惹くためだけに設計された広告が人の認知を奪い合う。AIが人間の仕事を代行するようになれば、自由時間はさらに飛躍的に増えるだろう。しかしそれは意味のあるものを生むために使われるのではなく、認知の争奪戦が繰り広げられる市場でただ蕩尽されて終わる可能性が高い。
高度な文明の源泉は人間の脳である。気候変動などの危機を乗り越える可能性も、人間の脳からしか生まれてこない。この頭脳を働かせることのできる時間が最大化している現在、それを貪ることで利益を上げる経済モデルにわれわれは直面しているのである。この状況は、生存可能性を高めるものとしてヒトが具えてきた生物学的特徴が、テクノロジー社会とミスマッチを起こした結果でもある。
この規制なき認知市場を放置することの意味を、われわれは真剣に考えなければならないだろう。現下の問題は、フェイクや陰謀論や反知性主義などすでに指摘されてきた弊害よりずっと根深く複雑だ。人類史上かつてない課題に、認知科学と社会学からアプローチする異色の試論。