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[BOOKデータベースより]
青年は愛する女を彫刻化することによって詩人になった―『悪の花』各版の詩篇と異同を徹底的に読み込んで、そこから「近代人の成長の物語」を演出した詩人像を析出する、画期的な新研究。
第1部 自己演出と芸術(『悪の花』の演出―五つの論点;ボードレールの演出―新プラトン主義と「ダンディ」;女のモチーフの演出―化粧と彫刻)
[日販商品データベースより]第2部 彫刻と想像力(近代人と彫刻―ヴィンケルマンとその批判的受容者たち;十九世紀中葉の彫刻の「低迷」とボードレール;ボードレールの彫刻批判;彫刻と創造力)
第3部 『悪の花』読解(初期作品(一八四三年頃)―自伝的な語り手;「冥府」(一八五一年)―青年たちの代弁者;『フランス評論』発表詩群(一八五七年)―部分と全体;『悪の花』初版(一八七五年)―青年が詩人になる物語;『悪の花』第二版(一八六一年)の「パリ情景」―遊歩者)
「本研究が論じるのは、彫刻のような身体を持つ女と恋愛する男の物語である。彫刻は古代の理想を体現している芸術であり、男は作家の化身である。彼は女との恋愛を通じて、愛に関する思想を深めていくかに見える。こうした精神性の追求から(…)作家が芸術家として、どのように自意識を作ったのかが透けて見えてくる」。
象徴主義(サンボリスム)の始祖であり、あらゆる現代詩人の父とも言うべきシャルル・ボードレール(1821-1867)。詩人が生涯をかけて編纂した『悪の花』は、彼の自伝的なエピソードをモチーフとしながらも、たび重なる演出で虚構化されていった作品である。詩の語り手は、女のモチーフを彫刻化することで、詩集を近代人の成長の物語として演出した。
美術批評家としてのボードレールは彫刻を批判したことで知られる。しかしその批判は19世紀中葉の彫刻が対象であり、当時は彫刻が低迷していた時代であった。ボードレールにとって彫刻的な美とは女の悪を装うためのものであり、その美意識は「ダンディ」へ通ずる。
「ボードレールの批評は近代のものであった。新プラトン主義者のように聖女や天使のイメージを求めたのではなく、男に逸楽をもたらす女を演出したのである。(…)彼は官能を題材としながらも、それを崇高なものに演出することで、二つの異なる美をつなぎ合わせる」。
『悪の花』のプレオリジナル版、初版、第二版と、その異同を徹底的に読み込むことによって、ボードレールがいかに自伝的な詩を組み合わせて「官能に耽溺していく青年の成長物語」を演出したかを詳細に描き出す。文学史と美術史の最新の知見を踏まえながら、これまで語られなかった詩人の新たな像を析出する、画期的な新研究。