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[BOOKデータベースより]
『戦争と平和』の貴族の令嬢ナターシャは、なぜ農民の踊りを踊れてしまうのか―パトスに満ちたエピソードの数々で彩られた「ロシア文化」をめぐる250年。文学、音楽、美術、演劇、バレエから食や入浴文化まで、英国の歴史家によって縦横に語られる、「ロシア文化」を主人公とした一大叙事詩。
第1章 ヨーロピアン・ロシア(帝都サンクトペテルブルクの誕生;シェレメーチェフ家の栄華 ほか)
[日販商品データベースより]第2章 一八一二年の申し子たち(対ナポレオン戦争と国民統合の夢;デカブリストの蜂起と流刑 ほか)
第3章 モスクワへ!モスクワへ!(「大きな村」;ロシア文学のなかのペテルブルク神話 ほか)
第4章 農民の婚礼(「民衆のなかへ!」;スターソフと三人の芸術家 ほか)
ロシア文化を主人公とした一大叙事詩
「ロシアは頭ではわからない」――「ロシア」をめぐるイメージ=神話の典型のひとつだ。本書では、そうした「ロシア」という「神話」が生み出してきた豊饒たるロシア文化の歴史が、国家や社会を主体とするマクロな歴史を縦糸、個人の生に関わるミクロな歴史を横糸として織りなされる。文学、音楽、美術、演劇、バレエといった大文字の文化のみならず、宮廷の様子や農村の習慣、食や入浴文化、フォークロアまで、ロシア史のさまざまな局面における日常生活を垣間見られるのも本書の魅力だ。
本書が射程に入れるのは、1703年のピョートル大帝による新都建設から、1962年のストラヴィンスキーの亡命先からの一時帰還という250年を超える時間であり、さらに亡命ロシア人社会にもその筆は及んでいるため、膨大な時空間にわたる「ロシア文化」を読者は旅することになる。「ロシア文化」において「ロシア」という「神話」がいかに大きな問題として底流にあったのか、また逆に「ロシア」という「神話」を支えるのにいかに「文化」が重要な役割を担ったのかを、本書で描かれる人物たちを追体験しながら感得することになるだろう。