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[BOOKデータベースより]
本書は、初期教父思想における神的場所という思考を概念史的に検討するという未開拓な分野に光を当て、教父たちの多様で複雑な議論を考察した画期的な業績である。神観や三位一体論など教義形成のうえでも貴重な成果として長く読み継がれるであろう。
序論
[日販商品データベースより]第1章 ギリシア哲学
第2章 初期ユダヤ思想
第3章 新約文書と使徒教父
第4章 護教家教父
第5章 グノーシスと反異端教父
第6章 初期アレクサンドリア教父
第7章 『ヘルメス文書』
第8章 神的場所概念
結論
神の時間や永遠における存在に関しては多くの研究がある。しかし神が場所的にどのように存在していたのかについては必ずしも解明されてこなかった。教父たちは,神が万物の場所を「包括する」という表現を多用してきた。「神的場所」の分析には「包括者」としての神が必然的に伴った。
このような視点から神と場所の主題を,キリスト教成立以前の古代ギリシアや古代ユダヤ思想から,ローマのノウァティアヌスや東方のオリゲネスなどキリスト教公認前の3世紀頃までを対象に考察する。なかでもオリゲネスは古代哲学の場所概念と聖書における神の存在を統合した。
初めにギリシア哲学と初期ユダヤ思想における場所概念を概観する。次に新約文書と使徒教父,護教家教父,そしてグノーシスと反異端教父,初期アレクサンドリア教父についてそれぞれ個別に検討し,最後に3世紀前後に活躍した教父たちに関わる「ヘルメス文書」を読解することにより,教父たちの神的場所概念の特徴を明らかにする。
本書は,初期教父思想における神的場所という思考を概念史的に検討するという未開拓な分野に光を当て,教父たちの多様で複雑な議論を考察した画期的な業績である。神観や三位一体論など教義形成のうえでも貴重な成果として長く読み継がれるであろう。