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松本圭二セレクション 詩 1 第1巻
航思社 大学図書 松本圭二
点
朔太郎賞詩人の幻の第1詩集。 そうして僕らは 鮮やかなアクリル質の皮膜のなかで 日々の没落を暖めていた その腐敗物は 恋人の夢の彼方で匂っている 熟れ落ちた柘榴なのだろう 僕はシオカラトンボの飛行に誘われるまま ぬるい湿林に嵌まってしまう 切り取られた空のゆるまりのなかで なおもゆるまってゆく 柘榴 親密な体臭に絆された?愛の白雲がひかれてゆく ぬるく ほとばしる 絨毯爆撃がしたい(栞=初期詩篇〔ソナチネ/拾遺/増殖する亡骸の関係/きのいき/12月の病い〕、著者解題)−−ここに収めた各詩篇の原形となるテクストを書いたのは、1982年から87年にかけてのおよそ5年間であり、年齢で言えば17歳から22歳、たぶん、私がもっとも詩人らしくあった頃である。それらのテクストを、私は自室でこっそりと書き、長い間隠し持っていた。『ロング・リリイフ』のような詩集を私は二度と作ることはできないし、ここに収めたような詩を書くこともできない。多くの処女詩集がそうであるように、これは一回きりの跳躍である。ただし私は、これまでの詩集でも一回きりの跳躍を試みたつもりである。叶うことならば処女詩集だけを作り続けたい。私は詩人の成熟など全く信じていない。
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1位
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[日販商品データベースより]
朔太郎賞詩人の幻の第1詩集。
そうして僕らは 鮮やかなアクリル質の皮膜のなかで 日々の没落を暖めていた
その腐敗物は
恋人の夢の彼方で匂っている
熟れ落ちた柘榴なのだろう
僕はシオカラトンボの飛行に誘われるまま ぬるい湿林に嵌まってしまう
切り取られた空のゆるまりのなかで なおもゆるまってゆく
柘榴
親密な体臭に絆された?愛の白雲がひかれてゆく ぬるく ほとばしる
絨毯爆撃がしたい
(栞=初期詩篇〔ソナチネ/拾遺/増殖する亡骸の関係/きのいき/12月の病い〕、著者解題)
−−ここに収めた各詩篇の原形となるテクストを書いたのは、
1982年から87年にかけてのおよそ5年間であり、
年齢で言えば17歳から22歳、
たぶん、私がもっとも詩人らしくあった頃である。
それらのテクストを、私は自室でこっそりと書き、長い間隠し持っていた。
『ロング・リリイフ』のような詩集を私は二度と作ることはできないし、
ここに収めたような詩を書くこともできない。
多くの処女詩集がそうであるように、これは一回きりの跳躍である。
ただし私は、これまでの詩集でも一回きりの跳躍を試みたつもりである。
叶うことならば処女詩集だけを作り続けたい。
私は詩人の成熟など全く信じていない。