この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- 封鎖法の現代的意義
-
価格:4,840円(本体4,400円+税)
【2023年03月発売】
- シベリアの歴史 新装版
-
価格:2,860円(本体2,600円+税)
【2018年05月発売】
- 記念碑論争
-
価格:6,380円(本体5,800円+税)
【2009年05月発売】
- コンプトン英国史・英文学史
-
価格:1,870円(本体1,700円+税)
【1996年01月発売】
- ドイツ大土地所有史論
-
価格:4,180円(本体3,800円+税)
【2023年02月発売】
[BOOKデータベースより]
終わりなき闘争のシンボル。「公正な社会」への希望を託され、増殖を続ける“英雄的ゲリラ”のイコン。その無数の流用と神話化のメカニズムに、民衆の「変革」への夢を読みとる。『骸骨の聖母サンタ・ムエルテ』に続く、渾身の“民衆図像学”!
第1章 世界で一番有名な肖像写真(クーブル号爆破事件;運命の撮影からお蔵入りまで ほか)
[日販商品データベースより]第2章 終わりの始まり―遺骸のたどった数奇な運命(神話の出立点ラ・イゲラ村の現在;捕縛の地、チュロ渓谷の現在 ほか)
第3章 英雄が愛したもの(乗り物;喘息とスポーツ ほか)
第4章 “英雄的ゲリラ”に託された夢(褐色の肌―非白人系の人権を反映したイメージ;「AAAの民を鼓舞する革命家」のイメージ ほか)
終章 「ゲバラのイコン」とチェボリューションのゆくえ
ジャン=ポール・サルトルをして「20世紀で最も完璧な人間」と言わしめ、ジョン・レノンに「世界で一番カッコいい男」と称賛された人物。その名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(1928-67)、一般にチェ・ゲバラとして知られる。
1967年に非業の死を遂げて以来、チェ・ゲバラの《英雄的ゲリラ》としてのイメージは、民衆の願望や希望を反映した神話化のプロセスを歩んできた。そしてそのイメージは、21世紀になっても消費しつくされることなく、理想の未来を目指す運動のイコンとしていまも増幅を続けている。
本書は、数多あるゲバラ研究に新発見の事実や歴史の新解釈を加え、脱神話化の文脈でその「英雄性」を世に問うというものではない。社会正義や「公正な社会」の実現のため、あるいはささやかな自己実現のためにチェ・ゲバラのイメージを必要とした人々の物語であり、彼の英雄譚をあらわす表徴/イコンの集成ということになる。そこで中心的な役割を果たしたのが、写真家コルダが撮影した「世界で一番有名な肖像写真」である。そのアプロプリエーション(流用)の範囲は、芸術作品から商品にいたるまで実に幅広い。多くの写真家やアーティストたちが、このイコンをイメージの上で超えていく図像の創造を、あるいは、過去のイメージの発掘と再生を競いあってきた。本書ではこういった事例の紹介に相当の紙数を費やしている。
ゲバラというイコンは、なにゆえいまだに愛され、必要とされているのか。その理由を、現代社会のありように照らしあわせながら、読者とともに探ってみたい。草の根からの社会変革が可能だと信じた20世紀後半の数々の抵抗運動の挫折を経て、より複雑さを増し、真の敵が見えにくくなっている現代において、「チェボリューション」(ゲバラの理想や行動を参照しつつ目指される社会と人間の変革)は果たして可能か、あるいは本当に必要なのか。本書はそれを考えるための一歩である。(かとう・かおる)