- 在庫状況:在庫あり(1〜2日で出荷)
[BOOKデータベースより]
朝鮮半島の非武装地帯の四季を見つめ続けるおじいさんの平和への思い。日・中・韓の絵本作家がおくる平和絵本。
[日販商品データベースより]非武装地帯に春がくると、野原には草花があおあおと芽吹く。でも、そこにはいくことができない。鉄条網がたちふさがっているから…。日本・中国・韓国の絵本作家が手をつなぎ、子どもたちにおくる平和絵本シリーズ。
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- ひとりぼっちのオオカミ
-
価格:1,870円(本体1,700円+税)
【2024年02月発売】
- とうきび
-
価格:2,420円(本体2,200円+税)
【2016年06月発売】
- チェクポ
-
価格:1,650円(本体1,500円+税)
【2019年09月発売】
思いがけず生き物の楽園となった「非武装地帯」を描いた美しい本です。舞台は朝鮮半島。1953年の朝鮮戦争休戦協定により、南北二つの鉄条網で囲まれた「非武装地帯」。かつては人も暮らしていたのに、今は誰も住めず、出入りが制限された荒れ地です。地雷が埋まり、今も軍隊がにらみ合う場所ですが、人間とちがい自由に空を渡る鳥は、ここで安心して翼を休めます。植物は青々と茂り、花は咲き乱れ、動物たちが闊歩します。非武装地帯に春がくると・・・草花は芽吹き、海にはゴマフアザラシが泳いできて、軍人たちは鉄条網を直します。非武装地帯に夏がくると・・・イムジン河には鳥たちが飛んできて、カワウソやキバノロ(シカの仲間)が遊び、軍人たちはつらい訓練を受けます。おじいさんは春も夏も秋も展望台にのぼって、鉄条網の向こう側を眺めます。「非武装地帯」以外に難しい言葉はほとんどありません。『ソリちゃんのチュソク』で韓国のお盆の里帰りを細やかな情感で描いたイ・オクベさん。『非武装地帯に春がくると』で初めて見るイ・オクベさんが描く生き物は、表情が生き生きとして屈託なく、いつまでも眺めていたい幸せな明るさが感じられます。同時に、生き物のそばには必ず鉄条網があります。人と人、国と国とが対立する現実を伝えつつ、いつか離ればなれになったなつかしい友と、鉄条網を開け放ち、肩を抱き合いたいという願いを描いたこの本。終盤の観音開きのページは圧巻です。ここがおじいさんのふるさと・・・。子どもたちにぜひ見せてあげたい。思春期の入り口に立とうとする小学生高学年・中学生にこそ、身の回りの世界だけでなく、すぐ近くの国にこんな現実があることを。今なお衝突の危険がある「軍事」の一面を。心からそう思える作品です。最終ページの半島地図(本書で描かれた生き物たちが、実際「非武装地帯」のどのへんにいるのか、記されています)も見てみてくださいね。日・中・韓平和絵本シリーズの1作です。
(絵本ナビライター 大和田佳世)
朝鮮半島の中央で北と南を分断する非武装地帯。
私の若い頃「イムジン河」という歌がありましたが、祖国を無断された人々の思いと、人の思いとは違って、ゆったりとした自然があること、渡り鳥たちが行きかう様が印象に残っています。
この絵本は、非武装地帯の自然と、それを見つめる老人の思いを描いています。
非武装地帯では、動物、魚たちは、邪魔されることなく南北を行き交い、平和に過ごしています。
そして、非武装地帯を囲む鉄条網のそばでは、有刺鉄線を張り替えたり、軍事訓練をしたり、非武装地帯の向こう側を常に意識した人間がいます。
老人は非武装地帯を眺めながら、本当はその中に入りたいのです。
向こう側にいる自分の近親者たちと、抱き合いたいのです。
一つの国が分断される悲劇を感じます。
非武装地帯の自然の中には、昔の朝鮮動乱期の戦いの残骸が何気なく埋もれています。
そして、皮肉にも、動物たちにとっては「楽園」になっているのです。
絶滅寸前の動物たちが生きのびるのは、人の入らない場所。
第三者として眺めるのと違って、韓国の人の思いは複雑でしょう。
動物たちも守られながら、この地帯がせめて交流の場になれば良いと思います。(ヒラP21さん 50代・千葉県 )
【情報提供・絵本ナビ】