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[BOOKデータベースより]
虐待被害を受け、4度の自殺未遂、精神科入院、生活保護受給などを経て複雑性PTSDと診断された著者が、カウンセリングを受けることで取り戻したものは、“適切な怒り”だった。『この地獄を生きるのだ』『家族、捨ててもいいですか?』『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』『私がフェミニズムを知らなかった頃』の小林エリコが、カウンセリングで複雑性PTSDの治療に取り組んだ記録。
1 カウンセリング(親への怒りと性被害;絶対に幸せにならないという信念;満点の星空の下に立つ私)
[日販商品データベースより]2 トラウマ、家族との対峙(兄を切り刻む;父と母;子供のままの両親)
3 怒りに火をつけろ(自分の感情が分からない;自分の内側に向かう怒り;怒りの鎧を取り戻す)
虐待被害を受け、4度の自殺未遂、精神科入院、生活保護受給などを経て、措置入院の際に「複雑性PTSD」と診断された著者が、カウンセリング治療によって“適切な怒り”を取り戻すまでの記録。
「私は明らかに人生を大きく変えられる被害を受けたのに、ずっと正しく怒ることができなかった。家族よりも自分が悪いと思うことすらあった。以降、家族に対しての怒りはあっても、自分を軽んじる他者などに対して、上手に怒ることができなくなっていた。そんな私が、カウンセリングによって、ようやく自分の感情を、適切な怒りを取り戻すことができたのだ。」(本文より)
【版元より】
本書は、『この地獄を生きるのだ』『家族、捨ててもいいですか?』『私たち、まだ人生を1回も生き切っていないのに』『私がフェミニズムを知らなかった頃』などで知られる小林エリコさんが、複雑性PTSDの治療に取り組んだ記録です。
家族からの虐待被害によって精神障害を負った小林さんは、措置入院した病院の医師に「複雑性PTSD」と診断され、カウンセリングを受けることを勧められます。
カウンセリングによって、小林さんの家族や自分に対する見方・考え方が少しずつ変わっていきます。カウンセラーは徹頭徹尾、小林さんを支持します。その様は、読んでいて「カウンセリングの基本は、心身に傷を負い自己否定に走りがちな患者を、とことん肯定することなのかもしれない」と感じる印象的なものでした。20年以上精神医療を受け、服薬を続けてきた小林さんが、時には行きつ戻りつしながらも、カウンセリングによって、着実に回復傾向に向かっていく記録として、読み応えのある貴重な内容になっています。
小林さんは「はじめに」で「PTSDはカウンセリングで治療可能である」と書かれており、高額なカウンセリングに助成金が出るようになることを目標とされています。本書によってその目標が達成できるとは思いませんが、PTSD・トラウマ治療に対するカウンセリングの有用性を一人でも多くの方に知っていただきたいと願っています。
また、小林さんが複雑性PTSDになった原因は、幼少期に受けた性被害にあり、本書もフェミニズム的要素を多分に含んでいますが、本書は女性に限らず、様々な方の人生の支えになり得る内容だと確信しています。
それは、今の社会の混迷の原因の一つに、小林さんがカウンセリングを受けることで取り戻した、“適切な怒り”の不足があると考えているからです。
有名人の不祥事や、インフルエンサーの言動などに脊髄反射し、炎上させるような類の怒りではなく、人間が人間らしく生きるために、自分の尊厳を守るために、時には必要になるのが“適切な怒り”だと私は考えます。
このような怒りを取り戻したことで、小林さんにどのような変化が起きるのか。ぜひ見届けていただければ幸いです。