- 琉楽・三味線
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- 価格
- 3,740円(本体3,400円+税)
- 発行年月
- 2025年09月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784899824947
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[日販商品データベースより]
琉球古典音楽の野村流音楽協会の創設に関わり、第五代会長を務めた著者は、ハワイ・南米での音楽指南、三味線調査を行い戦前の貴重な三味線365丁を記録した『三味線宝鑑』を発刊(1954年)。琉楽の行く末を案じ、三味線について調査研究を行った。戦前の琉球王国時代の師匠の教えを受け、日本からの視線を受けつつ、戦後は神奈川県川崎で沖縄芸能の普及にも務めた三味線演奏家の著作集第二弾。
*第一弾『国劇・組踊』(2025年4月刊)、第三弾『瑞泉庵の日々(仮題)』(2026年1月発刊予定)
『三味線宝鑑』誕生まで(本書より一部抜粋)
終戦後の郷土沖縄の様相については、戦後盛んに東京に去来される要路の方々から直接お話を聞き、あるいは新聞の報道等で大体の想像と予備知識を得て帰沖したつもりであったが、去る昭和十九年八月の疎開以来、足掛け十年振りに帰省し、はじめて那覇ふ頭に立ち、港口にある変わり果てた三重城や跡かたもない屋良座、住吉森等の旧態を想起しつつ、出迎えに来て下さった城間恒篤氏と共に車に乗り、旅館末広に行く途中、同氏から那覇市街の説明をして貰ったが、さっぱり見当がつかず、様相を一変したその姿に唖然とした。そして思いもよらぬところに那覇市の中心部が移動しているのには二度びっくり。百聞は一見に如かず、とはよく言ったものだと思った。
先日、首里を訪れたが激戦地であっただけに守礼門や首里城、円覚寺、尚邸を始め国宝建造物が全く焼けてしまい、見るかげもないのには感無量なるものがあった。
殊に私たち音楽家としての立場から考えると、首里城から円覚寺弁財天に至るあの古色蒼然たるハンタン山の雰囲気と自然の風光や人情を対象として、所謂節情と思入れ、味わい、これによって神に入る歌楽が歌われるのである。即ち有名な大新城親方の「けふのほこらしやや」かぎやで風節、「旅の出立ち」上り口説、「三重城登て」花風、「里が番所」首里節、「遊でぬかれらぬ」茶屋節、インタルー幸地里之子の「赤田門やつまるとも」赤田風節の如きは、首里城や那覇港の情景を思い浮かべながら演奏したものであるが、それらの現状を見せつけられては節情や思入れ等到底思いもよらず、この意味において終戦後の琉球音楽家が果して以上の環境と節情を体得して、形式にとらわれることなく、本当の古典音楽を歌いうるか、至難の業というほかはない。(以下略)