[日販商品データベースより]
【読者対象】
内燃機関を研究テーマにする学生,エンジン設計やエンジン研究に従事する技術者。
【書籍の特徴】
本書では,エアクリーナ,サージタンク,触媒とマフラを容器に見立て,これらを管で繋いだ単気筒のエンジンモデルを取り上げて,エンジン性能の計算方法と計算コードの中身を解説する。
計算コードを動かしながらエンジン性能の計算方法を学べるようになっているので,物理や化学の事象を記述した数式をどのように計算コードにしているか理解できる。また,読者が必要な改良を加えられるように,計算の不具合を的確に示してくれるインタープリタ型のPythonコードを選んでいるが,元にしたFORTRAN77コードの形をなるべく崩さずにPythonコードにしているので,好みの計算コードへ簡単に移行できると思う。
筆者は,計算で単位が最も大切と考えているので,何度も繰り返して記載するようにしている。また,理解し難いと思われる箇所は,言葉を変えて何度も説明するように心掛けたので,このような物理や化学の分野に接してこなかった方でも十分理解できると思う。
【各章について】
第1章ではエンジン性能シミュレータの概要を,第2章では吸排気脈動の計算方法を示し,第3章で吸排気脈動計算に一領域燃焼モデルを加えたエンジン性能計算について解説する。第4章では部分化学平衡計算を,第5章ではギブス自由エネルギー極小化法を使って,燃焼ガス中の化学種の組成と燃焼温度を求める方法を述べる。第6章では燃焼ガスの化学平衡を考慮した二領域燃焼モデルで燃焼サイクルを計算する方法を述べ,エンジン性能計算に組み込んで計算した結果を紹介する。第7章では燃焼サイクル計算に化学反応計算を加えて,一酸化窒素NOを計算する方法を解説する。また,本文では説明不足と思われる事項については付録で詳しく解説している。
【著者からのメッセージ】
最近のPCは40年前の大型計算機より性能が高いのに,プレゼン資料の作成や表計算などにばかり利用され,数値計算に使われないのはもったいないと思っており,物理や化学に興味がある技術者が,計算コードの作成を通して理解を深められるように,これまで作成してきた計算コードを紹介したいと考えている。教科書に載っている物理や化学の数式を計算コードにすることを難く感じている方が多いように思うので,そのような方々にぜひ読んでもらいたい。
【キーワード】
一次元脈動計算,化学平衡計算,ギブス自由エネルギー極小化法,二領域燃焼モデル,Woschniの式,拡大Zeldovich機構,エンタルピー,内部エネルギー,エントロピー,ギブスの自由エネルギー, 二分法, Newton-Raphson法,マクローリン展開,最小二乗法,燃焼ガスの化学組成,定圧燃焼温度,定容(定積)燃焼温度