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[日販商品データベースより]
東京大学名誉教授が綴る、学力をつちかう100のコラム。 (はじめに、より抜粋) さて、現実の教育に目を向けると、保護者にとって大きな問題は、やはり、子どもの「学力の形成」だと思います。まず確認しておくと、私たちの心身のどこを探しても、「学力」というものを見つけることはできません。「学力」は、人が何かを達成したり探究したりするときに、その人のなかにあると見なされるものです。たとえば、子どもが試験問題を解いたり、探究課題について調べたり考えたりするときに、その子どもにあると見なされるものです(これは「構成概念」「事後的形象」とも呼ばれます)。厳密にいえば、「学力」は、内部に形成される〈もの〉ではなく、実際に活動できる〈こと〉ですが、わかりにくいので、「形成」という表現を使います。この「学力」を形成する具体的な方法は、一般的によく語られていますが、そうした方法よりも大切なことがあります。それは、「学力」を形成するために踏まえておくべき考え方、いわば前提条件です。
「学力」の形成は、どんなにうまい方法で行っても、それなりの忍耐力(持続力)を必要としています。いいかえれば、学ぶ人の「意欲」を必要としています。人の意欲は、目的があるとき、どんどん湧いてきます。厄介なことは、人の抱く目的が、およそ情報メディアが作りだす欲望に塗れてしまっていることです。欲望に塗れた目的は、およそ自分の目的ではありません。欲望は、所詮、他人の欲望です。自分の目的は、自分自身の心が希求するところです。それは固有で特異なものです。だれにでも固有で特異な心があるように、だれにでも固有で特異な目的があります。したがって、「学力」を形成するための前提条件の一つは、自分のなかの固有で特異な傾き(心の傾向性・志向性)に気づくことです。子どもがいつ・どこで・どのようにそれに気づくのか、それは、子ども一人ひとり異なります。親にできることは、焦らず見守り、後で述べる経験の機会を増やすことです。ついでにいえば、子どものもつ独自の傾きは、親であっても予測できるものではない、と考えたほうがいいです。デカルトが『情念論』で述べているように、子は、およそ親を越えて育つものです。