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[日販商品データベースより]
森林生態学の保全管理を考えるとき、あらゆる専門分野を統合する総合的かつ実践的な学問として森林美学がある。
本書はその視点から、森林・野生動物・景観について論じる。
森林科学は、林業のための学問体系として始まり、時代とともに社会のニーズに応えながら、その対象やアプローチを広げてきた。現在では、森林は地球規模の自然生態系として捉えられ、科学的なアプローチの細分化と特化が進むことで、林業の現場でそれらを統合し、実践することがますます困難になっている。そのような状況の中で、森林のあらゆる専門分野を統合する総合的かつ実践的な学問として、森林美学が有用である。
林学は、再生可能な森林資源管理の方法としてドイツから導入したものである。その一つに森林美学があり、これは生態系より前にできあがった概念で、子孫への愛情をもって、森林資源の持続性を担保し実践する体系である。また、森林内外の景観の美的価値を評価し、林業の経済的利益を追求する中で美と功利の調和を図る思想に基づいている。この概念は時代とともに変遷し、森林内外の景観美にとどまらず、森林環境や生態系全体を包括するように拡張されてきた。そのため、森林がグローバルスケールで捉えられるようになった現代において、森林をヒューマンスケールで総合的に捉える森林美学は、現前する森林の課題に一人ひとりが対応するための技術として、改めてその意義を問い直される必要がある。
本書では、森林美学を「森林管理のリテラシー」と位置づけ、人間の風景認識を通じた森林の把握・評価に基づく森林の保全管理の必要性とその実践方法を論じる。現代の森林美学において最も強調すべき点は、自然資本としての森林資源の再生において、野生動物の管理を考慮する必要があることである。森林生態系は、樹木のみならず多様な生物の相互作用によって成り立っている。したがって、野生動物を含めた森林生態系の管理を視野に入れつつ、森林景観の価値を探求する姿勢を強調したい。