[BOOKデータベースより]
第1部 ごみをめぐる議論(「問題」としてのごみから「生活文化」としてのごみへ;「モノの価値」と「ごみの家庭生活」)
第2部 ごみの家庭生活(高度経済成長期の生活;ごみを「発見」する人々―拡大するごみ概念;ごみを排除する人々―ごみに対する寛容度の変化;「くず」から「ごみ」へ―「くず文化」の崩壊)
第3部 モノの価値(「ごみ屋敷」の現状;モノとごみの意味―「ごみ屋敷」の当事者Aさんの事例から;モノとごみの境界―機能的価値/心情的価値/可能性的価値)
第4部 まとめ(ごみと人間の関係)
ごみとは何か――。SDGsというワードが浸透し、プラスチックごみ問題がクローズアップされ、フードロス問題が叫ばれる今日、ごみは「解決すべき問題」として取り上げられることが多い。だが、私たちとごみの関係を、そのポジティブな面も含めて正面から考えることが見過ごされてきた。
私たちの日常生活に密接した「生活文化としてのごみ」に着目して、ごみとモノの境界がどこにあるのか、時代によってその境界がどう揺れ動いてきたのか、ごみとモノの価値の違いとは何なのかを、多くの雑誌や資料、フィールドワークから多角的に検証する。
「祖父の形見の壊れた時計はごみなのか」から説き起こし、高度経済成長期の家電やプラスチックの普及によって新たなごみが「発見」され、日常から「排除」されるようになったプロセスを浮き彫りにする。そして、ごみ屋敷の当事者への1年半以上の調査から、ごみとモノの境界と価値の関係性を明らかにする。
ごみとモノの境界を丹念にたどり歩き、「ごみか、モノか」という二極化した捉え方に異議を唱え、所有者の痕跡などから私たちとごみとモノの緩やかな関係性の再構築を宣言する。フリマアプリの浸透など、今日のリユースの流れにもつながる視点や論点を提示する、ごみをめぐる知的冒険の書。
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