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[BOOKデータベースより]
序章
[日販商品データベースより]第一章 遼金塔の特徴と機能(第一層塔身浮彫モティーフの構成;仏塔と仏頂尊勝陀羅尼経幢;第一層塔身の浮彫モティーフと仏塔に付与された「機能」との視覚的関係性)
第二章 遼金塔の第一層塔身浮彫の諸相(碑形装飾を伴う仏塔;朝陽北塔;北京天寧寺塔と慈寿寺塔に見る「古典」意識とその意図)
第三章 北京天寧寺塔(南京地区における遼金塔第一層塔身の概要;北京天寧寺塔の建立年代および背景)
第四章 海城金塔(海城金塔および金塔寺の概要;金・世宗の仏教政策を背景とする海城金塔の位置付け)
第五章 遼金塔への視座、遼金塔からの視座(関野貞フィールドカードから見る遼金塔の浮彫尊像;公州麻谷寺五層石塔;いわゆる「薩摩塔」に関する一試論―基壇部の浮彫尊像を中心に)
終章
【序章より】(抜粋)
本書のタイトルに「遼金塔」とある。これは、遼代および金代に建立された仏塔や僧塔の総称として用いるものである。(中略)
本書は、遼金塔が有する諸要素のうち、伊東忠太の指摘の如く、その最も際だった特徴の一つである第一層塔身の浮彫尊像の造形を根本資料とし、そこから、遼金塔の特徴と機能に触れて考えようとするものである。またその際に、朝鮮半島とのつながりも視野に入れた比較に注力したい。(中略)
遼金塔に関する実地調査は、二〇二〇年に始まった新型コロナウイルス感染症拡大以前の二〇一一?二〇一九年の間に実施したものである。その意味では、「最新の」遼金塔の姿とは言えない。しかし、中国では二〇〇〇年頃から活発になった遼金塔の修建・再建活動において、著しくその様相が変更されてしまった塔もある。さらに新型コロナウイルス感染症の拡大後の数年を経て、今現在、さらに多くの塔の彫刻に後補の手が及んでいると推測される。
そこで、可能な限りその時点での修理・後補部分を識別しながら行う作品のディスクリプションは、作品の「記録」としての価値も有する。美術史に携わる者が「記録」として遼金塔の塔と浮彫に関する見解を示すこと、さらに実地調査による高精細なデジタル画像によってその状態を提示することは、上述のように、建築と彫刻の様子が、今現在、さらに今後もそのままであり続けられる保証がない状況において、急務であろう。屋外建造物の、しかもそれに付随する彫刻は、損壊しやすいがために修繕を受けることが常であるため、なおさらである。その時の可能な尺度で年代を追って、作品の姿をディスクリプションし、伝えていくこと、ここにも本書の意味があると考えている。