[BOOKデータベースより]
本書は2024年3月に武蔵大学で行われた展覧会「美大じゃない大学で美術展をつくる|vol.1 藤井光“日本の戦争美術1946”展を再演する」を元に編まれた論集である。藤井光というアーティストの過去の展覧会シリーズ“日本の戦争美術1946”を再構成するに至った経緯(第0部 初演)、本展覧会や展示制作プロセスに関する記録(第1部 再演)に加えて、展覧会と同時に開催されたシンポジウムにおける対話(第2部)、またこれらの意義を考察する批評(第3部)で構成されている。本書は藤井光氏の作品、今回の展覧会とシンポジウムを題材にしつつも、作品・展覧会・対話を通じて問いかけられた戦争や災害をめぐる記憶の力学についての歴史哲学的問いを探究するものである。本書は展覧会という語りについてのドキュメントであると同時に、新たに再演された歴史の語りでもある。
第0部 初演“日本の戦争美術1946”(小森真樹 「パブリック」ミュージアムから歴史を裏返す;小森真樹 美術品をポチって戦争の記憶に参加する)
第1部 再演 藤井光“日本の戦争美術1946”展を再演する(企画概要;マップ ほか)
第2部 シンポジウム(星野太×藤井光 “歴史”に憑依する;香川檀×藤井光 藤井光“核と物”から考える厄災の記憶)
第3部 論考(藤井光 再演行為と展覧会;小森真樹 ミュージアムが儀礼化する戦争の“歴史”;小森真樹 なぜ「美大じゃない大学で美術展をつくる」のか?ねらいと理論的意義)
第2次世界大戦後直後の1946年、GHQによって開催され、占領軍関係者のみが入場を許された展覧会があった。「日本の戦争美術」展と称される展示である。展覧会には、戦時中に日本の画家によって描かれた「戦争画」が所狭しと敷き詰められ、これらの絵画が保存すべき「芸術」なのか廃棄すべき「プロパガンダ」なのかが検収されたという。
映像作家の藤井光は、この「日本の戦争美術」展の史実を入念にリサーチし作品化。1946年の「日本の戦争美術」展を会場に再現した絵画展に、歴史史料からシナリオを起こした対話劇型の映像インスタレーションを加え、2022年に東京都現代美術館で〈日本の戦争美術〉展として発表した。さらにコロナ禍の影響が残る2023年には、ウェブ上のバーチャル展覧会として同展を開催している。 この2つの展覧会をふまえ、2024年3月に武蔵大学で平日5日間限定で開催されたのが、本書の元となった「美大じゃない大学で美術展をつくる|vol.1 藤井光〈日本の戦争美術 1946〉展を再演する」(企画:小森真樹)である。
本書には、先行する2つの〈日本の戦争美術〉展の解題にはじまり、武蔵大学の展覧会に至る経緯、展示作品、催されたシンポジウム(登壇者:藤井光、星野太、香川檀)の記録、さらには小森真樹と藤井光による論考を収録。「藤井光〈日本の戦争美術1946〉」展の作品・展覧会・議論を起点に生まれた、戦争や災害を通じた記憶の力学についての歴史哲学的問いを探究するものである。つまり本書は展覧会ドキュメントであると同時に、書籍というかたちで新たに「再演」された歴史の語りでもある。
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- 世界で学べ 2030に生き残るために
-
価格:1,650円(本体1,500円+税)
【2019年08月発売】
- 他者と「共にある」とはどういうことか
-
価格:3,850円(本体3,500円+税)
【2019年09月発売】
- ヴァイオリンを弾くための身体の作り方・使い方 基礎編
-
価格:3,300円(本体3,000円+税)
【2015年05月発売】
- プロになるためのWeb技術入門
-
価格:2,508円(本体2,280円+税)
【2010年05月発売】