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dZERO トランスビュー 八木書店 沢部清 竹内栄美子 信田さよ子
点
在日朝鮮人文学で圧倒されたのは、登場人物の、日本文学では出会ったことのない人物像であった。大抵の場合、彼らは、日本人の蔑視、差別に遭いながらも、人間性豊かに逞しく生きていく姿を見せていた。そしてなによりも、彼らがその境遇から抜け出すためにも、在日であるからこそ民族の魂の拠り所として、分断している祖国の統ーを希求する姿は眩いほどであった。そんな中に、金鶴泳がいた。政治と文学が大きなテーマであったその時代、当時の知識人は近代日本における「罪」の部分、すなわち侵略戦争であり植民地支配であり差別問題であり格差問題を見極めながら思索を深めた。沢部さんの論文の背後に、一九六〇年代におけるそうした知識人の姿勢を垣間見る。在日朝鮮人であり、吃音者であり、作家であること。暴力的な父への憎悪と彼への経済的依存、北と南のはざま、アルコールへの深い依存など、いくつものまた裂き状態が生々しく浮かび上がる本書の構成はすばらしい。
序章 思想の変遷をたどって第一部 初期から学究期の小説―『凍える口』から『まなざしの壁』まで(『凍える口』に見る初期の思想;『緩衝溶液』『遊離層』『弾性限界』に見る青春像;『まなざしの壁』と金嬉老事件)第二部 中期の作家活動と国籍移行―『錯迷』から『〓離』まで(『錯迷』と模索;「在日朝鮮人」として生きる道;統一日報社との二足の草鞋)第三部 晩年とその死―『郷愁は終り、そしてわれらは―』から『土の悲しみ』まで(創作の苦しみ;死の間際まで続いた連載小説;遺稿『土の悲しみ』から伝わってくること)終章 今日、金鶴泳を読むということ補遺 小説『錯迷』と国籍の変更解説(竹内栄美子)あとがきに代えて(信田さよ子)
今だからこそ、金鶴泳を読む。金鶴泳(きん・かくえい、キム・ハギョン)は、1938年群馬県生まれ。東京大学工学部工業化学科を卒業後、同大学院に進む。大学院博士課程在学中の1966年、『凍える口』で文藝賞を受賞。大学院を中退し作家の道に。『石の道』『夏の亀裂』『冬の光』『鑿』がそれぞれ芥川賞候補となる。作品の多くに、吃音者、在日朝鮮人二世という自身の等身大の青年が登場する。1985年1月4日、群馬県の実家で自死。享年46。 ***在日朝鮮人文学は、一九六〇年代に至り、急激に存在感を示すようになった。在日朝鮮人文学で圧倒されたのは、登場人物の、日本文学では出会ったことのない人物像であった。大抵の場合、彼らは、日本人の蔑視、差別に遭いながらも、人間性豊かに逞しく生きていく姿を見せていた。そしてなによりも、彼らがその境遇から抜け出すためにも、在日であるからこそ民族の魂の拠り所として、分断している祖国の統一を希求する姿は眩いほどであった。そんな中に、金鶴泳がいた。――本文より政治と文学が大きなテーマであったその時代、当時の知識人は近代日本における「罪」の部分、すなわち侵略戦争であり植民地支配であり差別問題であり格差問題を見極めながら思索を深めた。沢部さんの論文の背後に、一九六〇年代におけるそうした知識人の姿勢を垣間見る。――竹内栄美子「解説」より在日朝鮮人であり、吃音者であり、作家であること。暴力的な父への憎悪と彼への経済的依存、北と南のはざま、アルコールへの深い依存など、いくつものまた裂き状態が生々しく浮かび上がる本書の構成はすばらしい。――信田さよ子「あとがきに代えて」より
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[BOOKデータベースより]
在日朝鮮人文学で圧倒されたのは、登場人物の、日本文学では出会ったことのない人物像であった。大抵の場合、彼らは、日本人の蔑視、差別に遭いながらも、人間性豊かに逞しく生きていく姿を見せていた。そしてなによりも、彼らがその境遇から抜け出すためにも、在日であるからこそ民族の魂の拠り所として、分断している祖国の統ーを希求する姿は眩いほどであった。そんな中に、金鶴泳がいた。政治と文学が大きなテーマであったその時代、当時の知識人は近代日本における「罪」の部分、すなわち侵略戦争であり植民地支配であり差別問題であり格差問題を見極めながら思索を深めた。沢部さんの論文の背後に、一九六〇年代におけるそうした知識人の姿勢を垣間見る。在日朝鮮人であり、吃音者であり、作家であること。暴力的な父への憎悪と彼への経済的依存、北と南のはざま、アルコールへの深い依存など、いくつものまた裂き状態が生々しく浮かび上がる本書の構成はすばらしい。
序章 思想の変遷をたどって
[日販商品データベースより]第一部 初期から学究期の小説―『凍える口』から『まなざしの壁』まで(『凍える口』に見る初期の思想;『緩衝溶液』『遊離層』『弾性限界』に見る青春像;『まなざしの壁』と金嬉老事件)
第二部 中期の作家活動と国籍移行―『錯迷』から『〓離』まで(『錯迷』と模索;「在日朝鮮人」として生きる道;統一日報社との二足の草鞋)
第三部 晩年とその死―『郷愁は終り、そしてわれらは―』から『土の悲しみ』まで(創作の苦しみ;死の間際まで続いた連載小説;遺稿『土の悲しみ』から伝わってくること)
終章 今日、金鶴泳を読むということ
補遺 小説『錯迷』と国籍の変更
解説(竹内栄美子)
あとがきに代えて(信田さよ子)
今だからこそ、金鶴泳を読む。
金鶴泳(きん・かくえい、キム・ハギョン)は、1938年群馬県生まれ。東京大学工学部工業化学科を卒業後、同大学院に進む。大学院博士課程在学中の1966年、『凍える口』で文藝賞を受賞。大学院を中退し作家の道に。『石の道』『夏の亀裂』『冬の光』『鑿』がそれぞれ芥川賞候補となる。作品の多くに、吃音者、在日朝鮮人二世という自身の等身大の青年が登場する。1985年1月4日、群馬県の実家で自死。享年46。
***
在日朝鮮人文学は、一九六〇年代に至り、急激に存在感を示すようになった。
在日朝鮮人文学で圧倒されたのは、登場人物の、日本文学では出会ったことのない人物像であった。大抵の場合、彼らは、日本人の蔑視、差別に遭いながらも、人間性豊かに逞しく生きていく姿を見せていた。そしてなによりも、彼らがその境遇から抜け出すためにも、在日であるからこそ民族の魂の拠り所として、分断している祖国の統一を希求する姿は眩いほどであった。
そんな中に、金鶴泳がいた。――本文より
政治と文学が大きなテーマであったその時代、当時の知識人は近代日本における「罪」の部分、すなわち侵略戦争であり植民地支配であり差別問題であり格差問題を見極めながら思索を深めた。沢部さんの論文の背後に、一九六〇年代におけるそうした知識人の姿勢を垣間見る。――竹内栄美子「解説」より
在日朝鮮人であり、吃音者であり、作家であること。暴力的な父への憎悪と彼への経済的依存、北と南のはざま、アルコールへの深い依存など、いくつものまた裂き状態が生々しく浮かび上がる本書の構成はすばらしい。――信田さよ子「あとがきに代えて」より