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書肆梓 八木書店 森尻純夫
点
第1章 早池峰信仰と現世利益 すべては大化の改新からはじまった(早池峰開山、伝承と歴史;端山、葉山、麓山、羽山、ハヤマ…里山への崇敬 ほか)第2章 “ヤマ”信仰が生みだすもの(中・近世期の湧水と“ヤマ”信仰;背景としての歴史 ほか)第3章 早池峰神楽、その上演(旅する芸能;神楽の上演と様式 ほか)第4章 「旅」と弟子座・孫弟子座(岳系と大償系;胡四王山 ほか)
早池峰神楽(はやちねかぐら)。岩手県花巻市大迫町(おおはさまちょう)の岳(たけ)、大償(おおつぐない)の2つの地区に500年以上にわたって伝承されてきた「芸能」の総称として、早池峰神楽は知られている。この芸能を半世紀かけて調査・研究してきた著者が、芸能の持つ「力学」の様態を余すことなくまとめた渾身の一冊。神楽の愛好家、研究者だけではなく、日本の中世からつづく「伝統芸能」全般に関心を持つ一般の読者にも届けたい1冊だ。日本の歴史のなかで「東北」という文化圏が持つ文化的背景を、神話、歴史、宗教など多面的な角度から読み解いていく著者の手法は、民俗芸能の先行研究はもちろんのこと、隣接した歴史学、宗教学などの研究分野の成果も取り入れつつ、より立体的に「早池峰神楽」の実像に迫っている。また、自ら演劇人でもある著者の神楽びとたちへの眼差しは、この芸能の持つ魅力の在処を、まざまざと読者に示してくれる。山伏神楽とも呼称され、中世の神仏習合のなかで生まれ、育まれた芸能が、明治政府による神仏分離政策や国家神道化がもたらした影響にも言及したうえで、現在の、そして未来における「芸能」のあり方をも示唆するダイナミックな筆致となっている。神道が整備される以前のアニミズム的な山岳信仰を精神的な源泉として、芸能が地域に根付き、継承された500年以上にわたって継承されてきた早池峰神楽。しかも、同じ地域に2つの独立した拠点があり、それぞれが切磋琢磨しながら、それぞれの弟子座、孫弟子座が構成されていく数百年の物語を、「芸能の力学」という視点で描ききっている。〈本文より〉***岩手県のほぼ中央部、北上山系に聳える“山”と山地から発せられる“川”には、遠く古代からの歴史的文脈がある。そして伝説的伝承ばかりではなく、現世への恩恵と利益も厳然として存在している。***早池峰神楽の流通地方の人びとは、自らの生態系と「ヤマの神話と現世」をしたたかに重ねながら、生きるための「利益」を求めてきたのだ。神楽びとたちは、このような地域の要請に逞しく応じてきた。「現世の利益」を眼前させ、手に取れるような現実を与えてきたのである。***昭和の半ば頃まで、早池峰神楽は、寒冷地である東北地域に秋が深まる季節から、年を越えて旧正月の農閑期、春の遅い北国にようやくその訪れの気配を感じる時節の村落を巡り歩いた。なによりも村落の人びとは、烈しく響く太鼓に魅せられ、玄関土間に侵入した黒い獅子が舞う「権現舞」を迎える。さらには、機会を得て神楽座の一行を家内に招き入れ、徹宵、「山の神」や「翁」、「三番叟」などの舞に、心躍らせ、ときめくのだ。近隣と縁戚の人びとが、土間はおろか庭先にまで寄り集って味わうのだ。***旅する芸能集団と受け入れる地域の人びとには、観る者と演ずる者の抜きがたい関係が成立している。その緊縛は、現代に至っても変わることなく歴史を育んでいる。***
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[BOOKデータベースより]
第1章 早池峰信仰と現世利益 すべては大化の改新からはじまった(早池峰開山、伝承と歴史;端山、葉山、麓山、羽山、ハヤマ…里山への崇敬 ほか)
[日販商品データベースより]第2章 “ヤマ”信仰が生みだすもの(中・近世期の湧水と“ヤマ”信仰;背景としての歴史 ほか)
第3章 早池峰神楽、その上演(旅する芸能;神楽の上演と様式 ほか)
第4章 「旅」と弟子座・孫弟子座(岳系と大償系;胡四王山 ほか)
早池峰神楽(はやちねかぐら)。
岩手県花巻市大迫町(おおはさまちょう)の岳(たけ)、大償(おおつぐない)の2つの地区に500年以上にわたって伝承されてきた「芸能」の総称として、早池峰神楽は知られている。
この芸能を半世紀かけて調査・研究してきた著者が、芸能の持つ「力学」の様態を余すことなくまとめた渾身の一冊。
神楽の愛好家、研究者だけではなく、日本の中世からつづく「伝統芸能」全般に関心を持つ一般の読者にも届けたい1冊だ。
日本の歴史のなかで「東北」という文化圏が持つ文化的背景を、神話、歴史、宗教など多面的な角度から読み解いていく著者の手法は、民俗芸能の先行研究はもちろんのこと、隣接した歴史学、宗教学などの研究分野の成果も取り入れつつ、より立体的に「早池峰神楽」の実像に迫っている。
また、自ら演劇人でもある著者の神楽びとたちへの眼差しは、この芸能の持つ魅力の在処を、まざまざと読者に示してくれる。
山伏神楽とも呼称され、中世の神仏習合のなかで生まれ、育まれた芸能が、明治政府による神仏分離政策や国家神道化がもたらした影響にも言及したうえで、現在の、そして未来における「芸能」のあり方をも示唆するダイナミックな筆致となっている。
神道が整備される以前のアニミズム的な山岳信仰を精神的な源泉として、芸能が地域に根付き、継承された500年以上にわたって継承されてきた早池峰神楽。しかも、同じ地域に2つの独立した拠点があり、それぞれが切磋琢磨しながら、それぞれの弟子座、孫弟子座が構成されていく数百年の物語を、「芸能の力学」という視点で描ききっている。
〈本文より〉
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岩手県のほぼ中央部、北上山系に聳える“山”と山地から発せられる“川”には、遠く古代からの歴史的文脈がある。そして伝説的伝承ばかりではなく、現世への恩恵と利益も厳然として存在している。
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早池峰神楽の流通地方の人びとは、自らの生態系と「ヤマの神話と現世」をしたたかに重ねながら、生きるための「利益」を求めてきたのだ。神楽びとたちは、このような地域の要請に逞しく応じてきた。「現世の利益」を眼前させ、手に取れるような現実を与えてきたのである。
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昭和の半ば頃まで、早池峰神楽は、寒冷地である東北地域に秋が深まる季節から、年を越えて旧正月の農閑期、春の遅い北国にようやくその訪れの気配を感じる時節の村落を巡り歩いた。
なによりも村落の人びとは、烈しく響く太鼓に魅せられ、玄関土間に侵入した黒い獅子が舞う「権現舞」を迎える。さらには、機会を得て神楽座の一行を家内に招き入れ、徹宵、「山の神」や「翁」、「三番叟」などの舞に、心躍らせ、ときめくのだ。近隣と縁戚の人びとが、土間はおろか庭先にまで寄り集って味わうのだ。
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旅する芸能集団と受け入れる地域の人びとには、観る者と演ずる者の抜きがたい関係が成立している。その緊縛は、現代に至っても変わることなく歴史を育んでいる。
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