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[BOOKデータベースより]
序章 本書での研究の視角と方法
[日販商品データベースより]第一部 内史・三輔・関中編―「本土」から「首都圏」へ(内史の展開と秦漢統一国家体制の形成;前漢三輔制度の形成;補論 『漢書』地理志における内史の設置時期をめぐって ほか)
第二部 東方諸地域編―「他国」から「地域」へ(統一前夜―戦国後期の「国際」秩序―;燕・齊・荊は地遠し―秦漢統一国家と東方地域―;補論 戦国の残像―秦末、楚漢戦争期における旧魏の領域― ほか)
第三部 移動と空間編―軍事、行幸(秦代国家の統一支配―主として軍事的側面から―;補論 三川郡のまもり―「秦代国家の統一支配」補論―;新朝の統一支配―主として軍事的側面から― ほか)
終章
【序章より】(抜粋)
中国の長い歴史において、時として分裂の局面をまじえながらも、基本的に統一の枠組が維持され、かつ拡大、発展してきたことは、その大きな特徴の一つといえるであろう。本書では、そこでの最初の事例となる秦および漢代における統一国家の体制がいかに形成され、かつ展開していったのかを、主として「地域の統合」――すなわち「地域間での支配、対立関係の構図とその相対化」――という側面より考察を加えてゆくものである。
秦漢時代、とくに秦および前漢時代の統一国家における「地域間での支配と対立の関係の構図」は、基本的に都の置かれていた西方の地域が東方地域を支配するというものであった。……筆者はこうした関係の統一国家の構造におけるあらわれ方を(狭義の) 「統一国家体制」として、その形成や展開について、これまで考察を重ねてきた。それらはおよそ以下のような三つの論点に分けることができる。
まず一つ目は、統一支配の基盤となる「支配、統合する側の地域」、いわば「中核地域」の国制上の位置づけの問題である。(中略)二つ目の論点ではこれとは対照的に、統一国家形成の過程において「支配、統合される側の地域」となった東方地域のあり方を問題とする。(中略)最後に三つ目の論点として、こうした地域間の関係を背景に展開される統一国家支配の実態について、反乱軍や鎮圧軍、あるいは皇帝による移動の事例から、具体的に考察し、確認したのであった。
……こうした検討を通じて、この中国史上最初の本格的な統一が成立し定着してゆく過程やその構造をある程度具体的に一貫したかたちで理解するとともに、そこで展開し、関連してくるこの時代の諸相についてもつとめて明らかにしてゆくこととしたい。
このような見通しのもと本書では、旧稿に増補、改定を施し全体の論旨を整えた上で、それらを上記三つの論点に応じてそれぞれ第一部「内史・三輔・関中編」、第二部「東方諸地域編」、第三部「移動と空間編」の諸章としてまとめて構成している。これをうけてさらに「終章」では、各時期における「地域間の支配、対立関係の構図」のあり方を時系列に沿って提示した。ちなみに本書では、第一部第一章第四節や第五章第三節、あるいは終章をはじめとして、現在公表が進んでいる里耶秦簡や岳麓書院蔵秦簡、とくに後者の最新の成果を取り入れている。