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[BOOKデータベースより]
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[日販商品データベースより]イワヒバ科
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植物観察を喜びとしている方々の期待にそえる図鑑が出版されます。「シダ識別入門図鑑」です。
植物愛好家にとってシダはどのように捉えられているのでしょう。ワラビやゼンマイのように食用として誰もが知っている種、スギナのように形態がきわめて特徴的な種、サンショウモやオオアカウキクサのように生えている環境が特殊な種…これらについては見分けが困難ということはなさそうです。しかし、大多数のいわゆるシダらしいシダは、羽状複葉で構成され、花が咲かず、日陰など地味な生育地にひっそりと生え、そのせいもあって分類・識別が難しすぎ、とてもアマチュアの手には負えないと思っている人が多いのではないでしょうか。それは、実は誤解に過ぎないことがこの図鑑によってわかるはずです。
本書はその名前の通りシダの識別に役立つことを目的とした図鑑です。シダの識別は、主に葉の多様な形質によって行われます。なかでもよく用いられるのは羽片、裂片、鱗片、包膜、胞子嚢群などで、これらのつくりは種子植物にはない特異なものですが、だからといって臆することはありません。シダにはシダに特有の形態と用語があるのは当然、本の冒頭でそれら用語については写真を使ってわかりやすく解説しています。むしろ着目すべきはシダでは識別形質の種類は限られていて、多くの分類群からなる種子植物の識別形質よりもずっと少ないという点です。少々とっつきのよくない変わった用語が最初に立ちはだかりますが、慣れてしまえばただの用語です。シダ識別の鍵となるこれら形質に習熟すれば、思いのほか容易に種の見当がつけられるようになります。
屋外で写真と実物を“絵合わせ”するのに簡便なように少し縦長サイズに作られた本書には27科、約300種のシダが掲載されています。識別のベースとなる葉の生態写真はもちろんのこと裂片、鱗片、包膜、胞子嚢群など識別上の重要ポイントが、十分な拡大率による実物写真を使って解説されていることが最大の特徴です。さらに特筆すべきは、雑種を多数掲載していることです。これはシダに特有といってよく、シダでは雑種の形成が分類群によっては自然に高い頻度で起こります。雑種は両親種の形質を合わせもつ中間形になりますが、その変異幅は広く、ときには親種の一方に酷似することもあって雑種に注目することは親種も含めた形質の確かな理解につながり、識別力の向上につながります。
シダの祖先は約4億年前、水中から初めて陸上化を果たしたグループで、徐々に大形化したシダは大森林を構築しました。その後、地球環境の変化に対応し、小形化、草本化して生き残り今に至っているシダ…植物の進化にも思いを巡らせながらシダを観察すれば、繊細で巧みな葉の造形と多様性の世界に魅了されるようになるでしょう。