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なぜ史書に歌が書かれるのか。『古事記』と『日本書紀』は歴史叙述を目的としながらも、歌と散文による叙述法を選んだ。歌そのものが宮廷の出来事を伝える歴史叙述だったからである。歌が物語化され、そこに散文が生成してくる。説話や物語に古代歌謡が結合したり、はめ込まれたとする独立歌謡転用論は、もはや通用しない。『古事記』成立と深く結びつく、八世紀初めの日本史書に出現した特異な現象を解明する。
第1章 主題と研究方法(軽太子物語と歌の叙事―記紀歌謡研究の新しい枠組み;古代歌謡と『古事記』『日本書紀』の歌―新たな記紀歌謡研究の方法;『日本書紀』の歌とその研究史―“歌と散文”の表現空間を中心に)
第2章 『古事記』『日本書紀』の歌とその表現(『古事記』『日本書紀』の歌の発生―歌謡の生態とテキストのあいだ;『古事記』『日本書紀』の歌のヴァリアント―異伝注記を通して;日本古代の歌垣―「歌垣」「歌場」「〓歌」とその歌;蟹の歌とその系譜―御贄としての蟹;古代の巨樹説話と歌―天を覆う百枝槻;歌謡の人称の仕組み―神歌の叙事表現から)
第3章 『古事記』『日本書紀』『風土記』の歌と散文叙述(『古事記』『日本書紀』の“歌と散文”―基礎的考察;『古事記』の歌と宮廷史―歴史叙述としての歌;蜻蛉野遊猟歌と雄略神話―紀75に「口号」と記す意味;『日本書紀』の歌と歴史叙述―顕宗即位前紀の「室寿」「歌」「誥」;養老の文芸―「丹後国風土記」逸文の浦島子説話と和歌)
第4章 『古事記』“歌と散文”の表現空間(『古事記』の“歌と散文”―歌の叙事の視点から;蟹の歌―応神記・日継物語の方法;仁徳記の「高光る 日の御子」―「日継」と「日の御子」;読歌と「待懐」「共自死」―『古事記』下巻の日継物語と歌;置目来らしも―『古事記』の最終歌二首と日継物語)
第5章 『古事記』“歌と散文”の文体と成立(『古事記』『日本書紀』の歌の生態と記載―宮廷歌謡・歌曲から史書の歌へ;『古事記』の文体―“歌と散文”の叙述法;『古事記』の成立―“歌と散文”の表現史)
なぜ史書に歌が書かれるのか。
『古事記』と『日本書紀』は歴史叙述を目的としながらも、歌と散文による叙述法を選んだ。歌そのものが宮廷の出来事を伝える歴史叙述だったからである。歌が物語化され、そこに散文が生成してくる。
説話や物語に古代歌謡が結合したり、はめ込まれたとする独立歌謡転用論は、もはや通用しない。
『古事記』成立と深く結びつく、8世紀初めの日本史書に出現した特異な現象を解明する。
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