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[BOOKデータベースより]
序章
[日販商品データベースより]第1章 初期マルクスにおける労働価値論の形成過程(本章の問題意識;労働価値論以前の労働価値論の形成過程 ほか)
第2章 マルクス労働価値論の基本的前提(「社会の本質」としての労働;唯物史観による「労働」概念の具体化 ほか)
第3章 「生産関係」としての労働価値論(紐帯概念から「生産関係」へ;「生産関係」=労働の社会的媒介関係としての価値 ほか)
第4章 『資本論』冒頭の二重の「捨象」について(問題の所在;二重の「捨象」に潜む問題点 ほか)
終章 労働価値論の可能性
労働価値論の古典的論争の考察などを通じて,マルクスの経済理論の構造が一般的に考えられている価格論や価値論とはまったく違っているだけではなく,そもそもの解明すべき課題が異なっていると考えるようになった。そこで,初期マルクスにさかのぼって,彼独自の理論がどのような問題意識のもとに成立してきたのかについて考察を行った。
こうした一連の研究の結果が本書である。本書の第3 章が,最終的に筆者が行きついた結論である。マルクスは,人類の歴史を「労働」の発展段階によって通史的に考察する唯物史観という方法論を用いていて,その「労働」を資本主義分析のためのカテゴリーである「価値」へと変換するための理論として労働価値論を用いている。そこで明らかにされるのは,資本主義社会で労働が社会的に媒介される際にとる独自の「形態」である。資本主義社会では,労働は一元的に「量」に還元されて媒介され,モノの量的等値が社会的関係を全面的に支配することがこの理論によって解明されている。(「あとがき」より)