- 幕末の漂流者・庄蔵
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二つの故郷
- 価格
- 1,650円(本体1,500円+税)
- 発行年月
- 2022年01月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784863292406
[BOOKデータベースより]
「漂流」が人生を変え、歴史に名を刻んだ。日本人を超えて国際人として生きた肥後出身の漂流者の実像に迫る。肥後国・川尻とマカオ・香港のはざまで、ローカルにしてグローバルな生涯をたどる。
はじめに―原田庄蔵とその故郷
1 漂流物語―マカオから父への手紙「日本より出し日を命日に」(庄蔵の手紙;寿三郎の手紙;庄蔵と寿三郎)
2 聖書物語―ウィリアムズと庄蔵 本邦初訳「聖書・マタイ伝」(「マタイ伝」写本の運命;庄蔵の聖書とその特徴)
3 故郷物語―庄蔵と故郷の人々(父と子の盆踊り;庄蔵の教養;正中島町「家屋鋪賣買帳」と庄蔵旧居;庄蔵の長女ニヲとその末裔)
おわりに―運命と時代を切り開く力
江戸中期から幕末にかけて、嵐などによる海難で漂流し、数奇な運命をたどった人々の物語はかなり多く残されている。本書の漂流者・庄蔵は、熊本県川尻の廻船問屋・茶屋に生まれ、天保6年(1835)妻子を残してフィリピンへ漂流し、マカオと香港で生きた。今回の調査で、彼の実像、家族、生家などが初めて明らかになった。これによって、彼が父にあてて書き残した書簡、さらに米国人宣教師ウイリアムズの下で初めて邦訳した聖書「マタイ伝」の史料的価値が改めて見直され、驚嘆すべき生涯を浮かびあがらせた。