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[BOOKデータベースより]
天狗山はぼくたちの山。木の根もとにはイノシシが牙をといだあと、キツネのすむうろ、地面にはニホンリスがかじったあとのあるマツボックリがころがり、さまざまな動物のふんや足あともたくさんみつかる。天狗山に道路を通す計画があるってほんと?大人のつごうで決めてしまうの?動物たちは、そしてぼくたちは、だまっているだけでいいの?
[日販商品データベースより]父さんは仕事大事人間で、去年の夏、ぼくは母さん、弟の洋といっしょに父さんのじっちゃんの家で暮らすことになった。母さんがいうに、父さんと母さんは「人生の大事」が違うのだそうだ。母さんは「人生はショージでできているんだ。それを大切にしなくちゃ」。ショージは小事、毎日の小さなひとつひとつのことだ。
じっちゃんの家で、ぼくの仕事は毎朝、新聞受けに新聞をとりにいくこと。その日も起きてすぐ新聞受けにいった。ところが、届いているはずの新聞が、ない。そのかわりに入っているのはきちんとくくられた幾枚かの葉っぱ。そして、そのことがきっかけで、ぼくはこずえという少女と出会い、近くの天狗山に道路を通す計画があることを知る。
天狗山はタヌキやイノシシなどがすむ緑多い山。近所の人たちのいい散歩コースにもなっている。そんな山に道路を通したら? 今度の市議会議員選挙でそのことが争点になっているというが、ぼくたちに選挙権がないのはなぜ? ぼくは弟、友だちの大介、そしてこずえといっしょに、「ぼくたちにできること」を考えはじめる。
すっくと立ち、まっすぐにものごとを見つめる子どもたちのありかたがすがすがしい読後感をもたらす物語。